大阪産業創造館には半年間入居して創業の準備を行う立志庵というスペースがあります。
数年前に立志庵で創業した雑貨の企画・販売をしている経営者の方に定期的に面談していますが、今では事業が軌道に乗り、商品の種類が増え、品質も向上し、年々売上がアップしています。
この経営者は、創業後2~3年ほど事業がうまくいかず、外注していた商品の品質トラブルが頻発し、またクリスマスシーズンなどに単発の売上が立つだけで、継続的に相談に乗っていた私も「本当に事業化できるのだろうか?」と心配していました。
その後、事業が軌道に乗り始めたのですが、苦戦していた当時の心境を聞くと、本人は「手ごたえを感じていたので、やめようと思ったことはなかった」という話をしてくれました。
新規事業はすぐに事業化できる訳ではなく、テストマーケティングや小さな取引から始まり、徐々に拡大しながら、あるとき一気に花開く、といったところがあります。
この企業も、商工会議所のマッチングイベントで出会った会社との取引がきっかけで事業が軌道に乗っていったのですが、それまでは途中であきらめてもおかしくない状況にありました。
今の成功につながった大きなポイントとして、苦戦の中で経営者が冷静に状況を見極め、まだやれるという「手ごたえ」を感じ、事業継続という意思決定をしたことが挙げられます。
手ごたえというと極めて感覚的な表現ですが、経営判断では様々な情報を咀嚼した上で生み出される直感や肌感覚が極めて重要であり、そうした感覚を研ぎ澄ましておくことが経営者の仕事と言えます。
新規事業や創業はそもそも成功すること自体が難しく、どこまで粘るのか、または撤退するのか、という経営判断が常に求められます。
決断が求められる際、経営者自身が現場に出てお客様の声など様々な情報を収集し、最後は自分の直感を信じることが大切だと思います。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 仁史が担当しました。
▼泉 仁史( いずみ ひとし )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2016年6月22日公開)
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