先日、ある印刷業の方からご相談を頂きました。相談の主旨は「顧客開拓」。今まで営業らしい営業を行わずとも最新の設備をそろえていれば十分に仕事が来て多忙に過ごしていたのだが、iPhone、iPadの普及もあって経営環境が変わり受注が減少していて何とかしたいということでした。
製造業の顧客開拓は地道な努力の積み重ねですから、すぐに結果が出るものではありません。仕事が順調にめぐっているときに次の顧客になりそうな先との信頼関係を作っておくことが大事です。
相談者の方は「ウチは、営業をやったことがないからノウハウがないので営業代行を頼もうかと思うのですが...」とお話くださいました。
私は「営業代行の方にはなにをセールスしていただくのですか?」とお伺いをしました。売りが分からない商材は扱えないからです。
すると、相談者の方は「ウチのよさは、印刷の仕上がりの良さ、大量印刷を処理できる設備なんです」とお話くださいました。
確かに仕上がりや大量印刷の処理能力は売りの一つですが、これでは設備の良さが競争力だということと同じなので、資金力のあるところが勝ってしまいます。したがって何が顧客に選ばれる自社独自の要素なのかを見出さなければなりません。
顧客に選ばれる要素を見出すとは、これまでの受注要因と失注要因、受注経路を細かに洗い出すことです。そこには必ず
顧客に選ばれる本当の要因を軸に、見込み客を選び出し、営業ツールを揃え、営業トークをまとめて、営業プロセスをルール化してアプローチし、その結果を次の営業に活かすのです。
本ケースは慢性病ですから回復までに時間がかかります。途中で投げ出すことなく顧客が獲得出来るまでやり続けることが大切です。「営業力がない」「自社の本当の魅力を知りたい」「やり方がわからない」そんな悩みを抱えているようでしたら、まず自社の経営資源の棚卸を実施してみてください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 服部 繁一が担当しました。
▼服部 繁一(はっとり しげかず)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2015年3月4日公開)
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