「起業に対して、家族からリスクがあるからやめてほしい、と言われた」とおっしゃる相談者がけっこういます。
特に会社員として安定した収入のある場合や、扶養家族がいる場合は、ほとんどの場合反対されます。起業のセミナーなどでは、「まずは事業計画を作って、家族に説明し、協力を取り付けましょう」といった説明があります。
これはこれであるべき姿なのですが、生活のかかった家族の立場になると、100%納得するためには、会社員時代に給料が保証されているのと同じレベルで、家族が生活できるような収益の「保証」が必要になるのです。
それでは、起業時点で収益を「保証」することはできるのでしょうか?
たとえば、飲食店を開きたいとします。いくら詳細にマーケットリサーチを行い、戦略・戦術・収益計画を作り込んだとしても、店をオープンし、実際にやってみなければ、どれだけお客様が来るかわかりません。
つまり、不確実な部分が必ず残ってしまうのです。したがって、家族は安心できず、いくら説明されても納得などできないのです。また、起業の成功確率は、私の感覚では2~3割ほどであり、失敗するリスクを考えると、家族に反対されるのは当然なのです(第133回「起業・新規事業の成功確率」をご参照ください)。
つまり、不安がる家族を100%納得させることなど、多くの場合、現実的ではないのです。
それでは、家族が反対したら、あなたは起業をあきらめるのでしょうか?
起業をあきらめ、家族との安定した生活を選択するというのは、ひとつの立派な答えだと思いますし、実際に経営相談の結果、そのような結論を出す方もいらっしゃいます。
しかし、「どうしても起業したい」という思いを抑えることができないのであれば、反対する家族をなだめすかしながら起業し、とにかく結果を出して家族を安心させる以外に方法はありません。
ただし、会社員のように一定の給料が入ってくるのが当然と思っている家族が、結果を出すまでに許してくれる時間は、それほど長くはないのです。
ここまで考えると、普通はなかなか起業への一歩を踏み出すことが難しくなるものですが、それでもやる人はやりますし、事業化できる人はできます。
会社員を完全に辞めてから起業を進める方もいる一方、会社員を続けながら、空き時間で起業し、一定の収益が見込めた時点で会社員を辞めて本格的に起業する方もいます。
いずれにせよ、一人で抱え込まず、大阪産業創造館・経営相談室で、専門家の意見を聴いてみても損はないと思います。お気軽にご連絡ください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 仁史 が担当しました。
▼泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィール
(2017年11月15日公開)
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