こんにちは、経営相談室の谷口です。
「忙しく働いているのに、なぜか利益が残らない…」と悩んでいませんか?
売上はあるのに利益が伸びない会社には、いくつか共通する課題があります。今回は、利益を確保するための3つのポイントを解説します。
忙しいのに儲からないから脱却しましょう!
忙しいのに利益が残らない会社の多くは、自社の「どの事業や取引が利益を生んでいるのか」を正確に把握できていません。売上全体だけをざっくりと見るのではなく、顧客別・商品別・案件別・エリア別など、さまざまな角度からデータを分析することが重要です。
利益分析の手順
1.必要なデータを整理する
取引ごとに、売上、売上原価(仕入・材料費・労務費・外注費など)、販売費及び一般管理費(以下、販管費)を記録し、「顧客名」、「業界」、「エリア」、「企業規模」など、分析したい切り口ごとに集計
2.データをさまざまな切り口で比較する
・業界別に分類 → どの業界の取引が利益を生んでいるか?
・顧客別に分類 → どの顧客が優良顧客か?
・エリア別に分類 → どの地域の取引が、収益性が高いか?
3.分析結果をもとに戦略を立てる
・利益が高い分野 → さらに注力し、利益を伸ばす
・利益が低い分野 → 改善策を検討し、場合によっては撤退も視野に入れる
例えば、「売上は大きいが利益率がほとんどない取引」がある場合、値上げ交渉や原価削減を試み、それが難しければ撤退を検討するのも選択肢のひとつです。限られた経営資源を、本当に利益を生む分野に集中させることが、儲かる会社への第一歩となります。
「この取引は利益が出ている」と思っていても、販管費を差し引くと意外と利益が残っていないことがあります。売上から売上原価を引いただけではなく、販管費も引いた営業利益を把握することが重要です。
例えば、以下のような取引があったとします。
売上:50万円
売上原価(仕入れ・外注費など):30万円
販管費(営業活動費・事務管理費など):10万円
※なお、販管費の共通する項目については基準を設けて按分します
一見、50万円の売上で30万円の売上原価なら20万円の利益があるように見えます。
しかし、営業活動や事務管理にかかる販管費を考慮すると、実際に残る利益は10万円しかありません。
仮にこの取引の価格を40万円に設定していた場合、売上原価30万円+販管費10万円がコストとなり、利益はゼロになります。販管費を考慮せずに値付けをすると、気づかないうちに「頑張って働いても利益が出ない」という状況になってしまいます。
そのため、価格設定をする際には、売上原価だけでなく販管費も考慮した適正な利益を確保できる価格にすることが大切です。
利益分析を手作業で行うのは大変ですが、デジタルツールを活用することで、効率的にデータを管理・分析できます。
デジタルツールの活用メリットとして、以下が挙げられます。
•顧客情報に業界・エリア・企業規模などを登録しておけば、毎回入力しなくても自動で集計可能
•使う人に合わせて、必要な情報だけを集計・グラフ化できるため、直感的に理解しやすく、情報共有もしやすい
•ノーコードアプリを活用すれば、分析したい内容や利用者の業務フローに合わせて柔軟にシステムを構築でき、カスタマイズも可能
また、引き合い、商談、見積もり提出、受注などのフローを一元管理することで、業務の進捗状況を見える化できます。これにより、どのフローで問題が発生しているかが明確になり、業務改善につなげることが可能になります。
「忙しいけど儲からない会社」から、「しっかり利益を生み出す会社」へと変わるために、どこで利益が出ているかを正確に把握し、適切な経営判断をすることが重要です。
経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口が担当しました。
▼谷口 睦(たにぐち むつみ)へのご相談(面談)
(2025年2月19日公開)
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