第561回 在留資格「経営・管理」の改正!これからの外国人起業|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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在留資格「経営・管理」の改正!これからの外国人起業

  • 10月16日に起きた2つの変化
  • 在留資格「経営・管理」はどう変わった?
  • スタートアップビザも要件変更に

10月16日に起きた2つの変化

みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
11月に入り、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。急激な気候の変化に、なかなか体が順応しない日々です…。

新設会社の98%以上は資本金1,000万円以下

新設会社の98%以上は資本金1,000万円以下

さて、前回担当したブログでは、「今年の大阪府の最低賃金改定は10月16日から」という話題を取り上げました。大阪産業創造館内にも、最低賃金改定のチラシが設置されているのですが、チラシの「1,177円」の文字から受けるインパクトに、まだまだ脳が順応してくれません。
そして、同じ2025年10月16日に、経営を取り巻く環境に大きな変化を与えるもう一つの出来事がありました。それが、在留資格「経営・管理」に係る「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)」及び「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」の一部改正と施行です。
そこで今回は、在留資格「経営・管理」の改正を取り上げます。

在留資格「経営・管理」はどう変わった?

外国籍の人が日本に在留する場合、在留資格が必要です。在留資格には様々な種類があり、種類によって、日本国内でどのような活動ができるのかが決まっています。
外国籍の人が事業経営に当たるために日本に在留する際に必要なのが、在留資格「経営・管理」です。その許可基準が、今年の10月16日に変更となりました。

出入国在留管理庁:在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html

「外国人起業の資本金要件が3,000万円に引き上げ」といったニュースを目にされた方も多いのではないでしょうか。今回の改正では、資本金だけでなく、本人が3年以上の経営経験を有することや日本語能力、常勤の従業員の雇用などの要件も追加されています。

なお、これらの基準変更は、すでに「経営・管理」の在留資格を持つ人については、「施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合については、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断」とされています。
資本金要件を例にすると、これまでの許可基準を満たす資本金500万円の法人であれば、3年間の猶予期間中に6倍の3,000万円まで資本金を積み増すことが求められます。在留資格を持つ本人が追加で出資する、第三者が追加出資を行う、利益剰余金を資本金に振り替えるなど、いくつか方法は考えられそうですが、いずれにしても、具体的な計画策定と早期着手が重要になりそうです。

スタートアップビザも要件変更に

特定活動(44号・外国人起業家(スタートアップビザ))は、日本国内で起業するための準備を行う在留資格で、更新も含めて最長2年間、日本に在留することができます。
今回、在留資格「経営・管理」の基準改正によって、この「スタートアップビザ」も要件が見直されました。

経済産業省:外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)
要件の見直しについて(令和7年10月16日施行)
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/startupvisa/index.html

「経営・管理」の要件を満たす準備期間としての在留資格なので、
・「経営・管理」では日本語能力の要件があるが、スタートアップビザにはない
・「経営・管理」では3年以上の経営経験の要件があるが、スタートアップビザでは、1年以上の経営経験
といった違いがみられます。
スタートアップビザでの2年間の活動は、改正された「経営・管理」の要件である「3年以上の経営経験」に含めることができるので、スタートアップビザの在留資格で日本に滞在している2年は、「経営経験と日本語能力を高める猶予期間」という位置づけと推察されます。しかしながら、資本金等の要件については「1年以内(更新時には6か月以内)に、申請に係る事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上となる見込みがあること」と規定されています。スタートアップビザで日本に滞在している期間に、個人資産を大幅に増やすことは現実的に難しいことを考えると、スタートアップビザの申請時点で、事業に3,000万円以上投資できる用意をしておく必要がありそうです。

日本国内での外国人起業家は増加傾向でしたが、今回の改正で流れは大きく変わりそうです。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高松が担当しました。

▼高松 留美(たかまつ るみ)へのご相談(面談)

(2025年11月19日公開)

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