最近、ある鉄工所の社長と話す機会がありました。
その鉄工所は30年以上、世界中に機械を製造・販売している大企業の下請ほぼ100%で仕事をしてきました。
取引を開始したころは、その大企業は中堅企業クラスで、当時の社長がわざわざ鉄工所まで来て「専属で仕事をしてもらいたい」と言われ、今に至ったとのことでした。
ところが30年も経過し、相手が大企業になり、取引開始当時の社長や幹部がいなくなってくると、今やその鉄工所は外注企業のひとつでしかなくなり、大企業の資材部門の担当者が窓口になり、そして今年の春から大企業からの発注がパタリとなくなってしまいました。中小企業ではよくある残念な話です。
鉄工所の社長は、しばらく待ってはみたものの、資材担当者は理由を一切明かしてくれず、このままだと会社がつぶれるということで、新規顧客の開拓に乗り出すことにしました。
インターネットで自社の技術が活かせそうなメーカーをリストアップし、電話でアポをとって順番に訪問していきました。
その結果、20社訪問の内、注文してくれたのが6社。新規開拓としてはかなりの成功率です。
鉄工所の社長と話しながら、なるほど、と思いました。結局、技術・サービスのレベルが高く、価格競争力もあることが、取引先から認められたのです。
つまり、製品・技術・サービスと価格競争力という事業の中身が魅力的であると、おのずと営業の成功率が上がるのです。
逆に、顧客にとって価値の低いものを、いくら営業・販促しても、誰も買いたいとは思いません。
創業時は、いくら一生懸命に営業しても売れないことがよくあります。これは、営業が問題の場合もありますが、事業の中身が顧客にとって魅力的なレベルに達していないことの方が多いのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
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(2016年12月14日公開)
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