残暑厳しい9月が終わり、ようやく秋の気配を感じられるようになってきましたね。ラグビーや釣りが大好きな私としては、大変楽しみな季節になり、なんとなく心が落ち着かなくなっています。
彼と己を知ることが大切!
さて、今回はよく相談がある営業について書きたいと思います。
まず、営業パーソンは売る立場にありますが、反対に買う立場になった時にはどのような営業パーソンから買うことを望みますか?私は迷わずに、「こちら(買う立場)を大切にしてくれる人」と答えます。また、「営業の役割は?」と質問されるとどう答えるでしょうか。“契約を取ること”、“お客さまを増やすこと”、など様々な答えがありますが、営業の役割は「お客さまに貢献して、喜んでいただく」ことだと思います。当たり前のことかもしれませんが、営業にはノルマ・目標数字などがあることが多く、つい目の前のお客さまに貢献する気持ちを忘れ、売る側の都合を優先してしまいがちです。売る側の都合を優先する営業パーソンでも短期的には成果を出せる時があるかもしれません。しかし、売る側の都合を優先した場合はお客さまの満足度が低くなることが多く、リピートや紹介をなかなか得られず、長期的に高い成果を出すことが困難になります。まずは、お客さまに貢献するという心構えを持つことが大変重要です。
古代中国の孫氏の兵法書に「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という格言がありますが、営業でも同じことが言えると思います。
営業の場面に置き換えると“彼”とはお客さまになりますが、営業パーソンとしてお客さまについてどのようなことを知っていますか?おそらく営業パーソンが売りたい商材に関連する情報は知ろうとすると思います。ただ、お客さまは売る側が知りたい情報のみを易々と教えてくれるとは限りませんし、信頼して情報を開示してもよい営業パーソンかどうかを判断しています。お客さまが信頼して情報を開示しても良いと思う営業パーソンになるためには、上記の心構えに加えて、お客さまについてより深く知ろうとする努力が必要になります。
例えば、お客さまが中小企業経営者の場合、どのような思いで創業したのかまたは会社を継いだのか、どのような信念をもって会社を経営しているのか、どのようなビジョンをもっているのかなど、お客さまのより深い部分まで理解し、共感することがとても大切になります。お客さまの趣味や好みを知ることも大切ですが、より深い考え、思いを理解することを心掛けてください。このような営業パーソンの姿勢がお客さまに伝わり、信頼されることで情報を開示いただけるようになります。
最後は「己を知る」についてです。
経営相談を受けている際に、強みや他社との差別化要因は何なのかを質問した際に、明確に答えられる人が少ないように感じます。仮にお客さまに情報を開示いただき、自社商材を提案するチャンスをいただいたとしても、強みや差別化要因が明確になっておらず、“自社商材の価値やメリットを示す”ことができなければお客さまに受け入れられる可能性は低くなるでしょう。強み、差別化要因といっても、全ての競合他社と比較してナンバーワンである必要ありませんが、自信をもってお客さまにアピールできるポイントは明確であるべきだと思います。いまいちど、強みや差別化要因などをしっかりと分析してみてはいかがでしょうか。
営業は偶然の要素も多分にありますが、偶然のチャンスをものにできるかは、上記のような心構え、「彼と己を知る」ことが大切になります。
ぜひ取り組んでみてください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました。
▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)
(2024年10月2日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ