第487回 自然災害に備え、事業の早期復旧への対策を立てよう!!|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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自然災害に備え、事業の早期復旧への対策を立てよう!!

  • リスクを把握する
  • 経営資源を洗い出す
  • 早期復旧への対策を講じる

リスクを把握する

こんにちは。経営相談室の太田です。

最近暑い日が続き、暑がりの私には若干辛い季節がやってまいりました。
2023年の夏は、全国の平均気温が統計開始以来最高を記録し、史上最も暑い夏と言われましたが、今年も昨年同様暑くなると予想されています。そうなると心配になるのが、台風や豪雨などの気温上昇が影響する自然災害ではないでしょうか。2018年に発生した西日本豪雨による中小企業の被害額は4,738億円(※1)となったことからも、自然災害が中小企業に与える影響は甚大であり、事業を継続するためには自然災害への対策をとることが大変重要となります。
((※1)引用:2019年版中小企業白書 被害額は、激甚災害指定に係る被害調査時点において、自治体から直接被害として報告のあったもの)

日常からの備えが大切です!!

日常からの備えが大切です!!

対策のはじめとして自社にどのような自然災害リスクがあるのか確認することが大切です。水害リスクは、国土交通省が提供している「ハザードマップポータルサイト(※2)」や自治体が提供しているハザードマップをご活用ください。
自治体が発行しているハザードマップは、検索サイトで「○○市ハザードマップ」と検索することが可能ですし、冊子を配布している自治体もあります。ハザードマップを確認すると、事業所が水害・津波で約何m浸水するか、土砂災害の危険があるのかなどがわかります。

また、季節を問わず発生する可能性がある地震のリスクは、「J-SHIS地震ハザードステーション(※3)」に住所を入力すると、将来の地震発生確率が示されます。建物については、1981(昭和56)年6月に耐震基準が改正され、それ以後は比較的地震に強い構造の建物が建築されるようになりました。したがって、1981年(昭和56)年6月1日以前に建築申請がなされた建物で事業を行っている場合は、倒壊の注意が必要となります。

経営資源を洗い出す

経営をするうえで役立つ要素や能力を経営資源と呼びます。大きな自然災害が起こっても事業を早期に復旧させるために、特に重要な経営資源を洗い出し、自然災害への対策を講じる必要があります。その際、主に「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「その他(情報など)」にわけて整理することが大切です。
「ヒト」・・・経営者、従業員、お客様など
「モノ」・・・製造設備、電源設備、PC、製品在庫、原材料等など
「カネ」・・・保有現金、融資枠、自然災害に備えた損害保険、換金性がある金融資産など
「その他(情報)」・・・顧客情報、取引先情報、売上情報、設計図面など

早期復旧への対策を講じる

災害発生後、事業の停止期間を極力短くし、損失を最小限に抑えるため、「ヒト・モノ・カネ・その他(情報)」という洗い出した経営資源から、早期復旧への対策を講じる必要があります。
<対策事例>
「ヒト」
・経営者が出社できない場合の指揮命令者を事前に決めておく。
・特定の人が業務を独占しないよう日常から複数で担当する。多能工化を図る。
・安否確認ルールや安否確認システムを導入する。

「モノ」
・製造設備や棚などが倒れないように固定する。
・停電に備え発電機を準備する。
・製品在庫や原材料などを高所に保管する

「カネ」
・緊急時の融資について金融機関とコミュニケーションをとっておく。
・損害保険の補償範囲や保険金額が適切かを確認する。
・金融資産の現在価値を把握する。

「その他(情報)」
・顧客情報や取引先情報、売上情報などを複数の媒体や別々の場所に保管する。
・水害があっても被害を受けない場所にサーバを保管する。

自然災害は突発的に発生する場合がほとんどですので、平時からの準備や訓練が大切です。また、講じた手段が有効に機能するのか常にPDCAサイクルを意識するようにしてください。
なかのひと第467回も関連した内容ですので、ご参照ください。

経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました。

(※1)2019年版中小企業白書 第3部第2章第1節-3 コラム3-2-1
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/index.html
(※2)ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/
(※3)J-SHIS地震ハザードステーション
https://www.j-shis.bosai.go.jp/

▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)

(2024年6月12日公開)

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