ゴールデンウイークの前半にアニメ「ダンジョン飯」を配信で見ました。ダンジョン(迷宮)を攻略しながら魔物を調理して食べるという一風変わったストーリー展開に加えて、価値観の違ういろんな種族たちの楽しい食事シーンが注目され、人気作品となっています。
ゼブラ企業の経営姿勢を参考にしよう
さて、今回はゼブラ企業を取り上げます。ゼブラ企業とは、社会課題の解決と持続可能な経営の両立をめざす企業の概念です。成長(市場の独占)と拡大(上場の時価総額)をめざすユニコーン企業が称賛される社会の流れに危機感を抱いたアメリカの4人の女性起業家が2017年に提唱し、メディアで紹介されるようになりました。
日本でも注目されはじめ、2024年3月1日に中小企業庁から策定公表された「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」(※1)では、自治体の支援の在り方と伴に、先行するゼブラ企業の事例が紹介されています。
例えば、規格外の農作物を新たな規格で流通させ、地元農家の所得向上や女性の健康問題に取り組む福島県の「株式会社 陽と人(ヒトビト)」、林業の6次産業化とローカルベンチャーの創発を進める岡山県の「株式会社 エーゼログループ」などが紹介されています。
(※1)中小企業庁:地域課題解決事業推進に向けた基本指針
ゼブラ企業が支持される理由は、社会的課題の解決をめざし、その活動がステークホルダーと社会全体の利益につながると期待されているからです。また、ゼブラ企業の多くが、長期的なビジョンをもち、自ら創出したい社会的インパクトをしっかりと伝え、利害関係者と関わっていることも支持される理由です。
事例で紹介されている「株式会社 陽と人」はホームページでビジョン達成に向けたステップを公開しています。各段階(初期・中期・長期)における関係者との関わり方と成果(アウトカム)を、図を用いて丁寧に説明しています。
Z世代もゼブラ企業に関心を寄せています。関心を寄せているポイントは、持続可能な社会に向けた事業内容に加え、多様な人材が参加できる環境づくりと、必要に応じて専門性の高い人材をバランス良く取り入れている点です。外部への情報発信を工夫し、ネットを活用し丁寧に伝えているため、Z世代の注目も自然と集まります。こうした取り組みは、厳しい経営環境においてファンづくりや組織づくりをめざす企業にとっても参考になります。
冒頭に紹介した物語でさまざまな種族が専門性を活かして、協力しながら目標にむかって進んでいくように、これからのビジネスでは多様な人材が参加できる環境づくりが、ファンを増やし持続可能な成長を達成するためのポイントになるように感じます。
経営相談室 スタッフコンサルタント 大西が担当しました。
大西 森(おおにし しげる)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2024年5月22日公開)
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