皆さんこんにちは。スタッフコンサルタントの田口です。
今回は事業承継の相談でよくある社長交代のタイミングについて書きたいと思います。
社長!いつまで現職でおられるのですか?
4月1日にトヨタ自動車の社長が交代されると発表されています。
創業家出身で14年間社長ポストにあった66歳の豊田章男社長から53歳のエンジニア出身の佐藤恒治氏への交代です。
66歳という年齢と創業家出身かつ最近の会社の業績などを考えると、豊田章男氏が社長を引退するタイミングは早いのではと思われたのは私だけでないと思います。
そして、社長を退く理由として、「私は古い人間だ」、「私はどこまでいってもクルマ屋。クルマ屋を超えられない。それが私の限界だ」と語られています。
確かに自動車業界もガソリンからハイブリッド、更には電気と地球環境の観点からも大きく変化しようとしており、世界のトップ企業であるトヨタ自動車とて安閑とはしておられません。
そうした危機感が今回の世代交代の背景にあるのは間違いないと思われます。
会社経営者の最も重要かつ難しい決断が出処進退ではないでしょうか。
多くの人は豊田章男社長のように「私は古い人間だ」と冷静に自分を分析し、ある意味自己否定することはなかなかできません。
これまで多く社長に接してきましたが、その多くはいつまでも会社に関わっていたい、社長でいたいという願望が強いように感じました。
その一方で見事な社長引退劇にも出会ってきました。
私が「事例に学ぶ事業承継」として紹介したブログでも第2、48、53話はいつまでも社長を譲らなかったために後継者が苦労した事例であり、逆に第13、23、31話は見事な引退劇を紹介しています。
事業承継、社長の交代の時期の決定は社長でしかできません。
いくら後継者が交代を強く望んでもかないません。
ですから社長自身が出処進退を明らかにすることが最も大切かつ重要な決断ではないでしょうか。会社の勢いは社長の体力、精神力の勢いそのものです。それが衰えると会社の活力も同じ軌跡をたどるのが一般的です。
とは言えいつまでも社長いたいという親の願いを奪ってまで、後継者である子供が世代交代を迫るのもいかがなものかという思いのも正直なところです。
子として親の生涯を見守ることも大切な役割であり、経営と親子関係との狭間で簡単に導き出せる答えではないと思います。これについて参考となる事例は前述のブログ第99話で親の社長を生涯リスペクトした事例を紹介しています。
このように後継者の配慮も大切ですが、最も肝心なことは経営者自身による社長交代の意思決定、出処進退を決断することではないでしょうか。
経営相談室 スタッフコンサルタント 田口 が担当しました。
田口 光春(たぐち みつはる)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2023年3月29日公開)
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