帰省など夏の旅行シーズンですね。
先日、“博多の女”というお土産をいただきました。今や全国に知られる博多の定番お土産商品です。50年以上の歴史のある商品ですが、当初は、演歌歌手・北島三郎の曲から着想したネーミング、博多人形をあしらったカラフルなパッケージという、当時としてはとても斬新な工夫を凝らし商品だったようです。
必ず買うお土産はなんですか?
こうしたお土産は、職場での会話のきっかけになるなど、美味しさだけでなく“話題性”も商品価値の一つです。お土産はどれも魅力的な商品ばかりですが、「またあれを買おう」と思われる“定番”となるのは、ほんの一握りです。
今回は、夏の旅行シーズンということで、定番のお土産についてまとめてみました。
駅・空港・高速道路のSAのお土産売場には、目的買いにつながる定番商品、比較しながら選ぶ買い回り商品などで構成されています。中でも定番商品はその土地に行けばほとんどのお店にある、いわばその土地の顔のような商品です。こうした定番商品は、歴史の長い商品のイメージがありますが実はそれだけでなく、平成生まれの比較的新しい商品も定番の地位を築いているケースがあります。
お土産物売場は、毎年のように新商品が登場し、毎年2~3割が新しい商品に入れ替わります。そのため、3年もするとほとんどが新しい商品になります。
一方で売場を運営する側にとっては、新商品は店の印象を変え、アイキャッチとして来店のきっかけになる重要なアイテムでもあります。特に“お土産選びの楽しさ”を演出できる新商品は、滞在時間を延ばし、買い回りの導線を作る役割も期待されています。
売場の担当者のニーズを理解し、新商品の入替を新規参入のチャンスととらえ、自社商品の売場を確保することが定番化に向けた最初の一歩です。
最近のお土産商品は、どれも細かな工夫が凝らされています。
たとえば職場で配りやすいよう個包装かつ常温保存ができるもの、友人へのプレゼント用におしゃれで写真映えするデザインのもの、家族用に日持ちは短くてもボリューム感と素材の良さを重視したものなど、買い手の利用シーンを見据えた商品づくりが当たり前になっています。
どの商品も顧客ニーズを捉えた商品づくりになっていますが、これらは初回購入のニーズへの対応です。定番商品にするには、またあれを買おうという「記憶の定着」をさせる仕掛けづくりが必要です。
記憶に残すためには、
1.視覚に訴える(特徴的な形・色)
2.土地を想起させる名前・ストーリー
3.意外な組み合わせ
4.「誰かと食べた」記憶
など、「つい誰かと話したくなる」そんな仕掛けが重要です。
定番とは、“思い出”と結びつき、記憶に根付いた存在といえます。狙ってもなかなかできませんが、狙わないと生まれてこない商品なのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 大西が担当しました。
▼大西 森(おおにし しげる)へのご相談(面談)
(2025年7月30日公開)
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