先日、飲食店を長年運営している経営者が、経営相談室にお越しになりました。
「もともとはカフェをしていたが、コロナ禍で経営が悪化した際、肉料理を提供するバルに転換した。最近、売上が低迷しているが、どうすればよいか」というご相談でした。経営相談室では飲食店の専門家と無料相談ができますので、専門家にアドバイスしてもらうことにしました。
専門家に相談すると気づきがあるかも!
専門家が詳しく現状確認をしてわかったことは、コロナ禍を契機に提供する料理を大幅に刷新したにもかかわらず、以前からの常連客の要望で前のメニューが残っており、店のコンセプトやターゲット顧客が不明確になっているということでした。また、カフェの時よりも店舗オペレーションを簡略化するつもりであったのが、逆にメニューが増加し、オペレーションが煩雑になっていました。
一方で、すぐにつぶれてしまう飲食店も多い中で、長年、店舗運営してきただけあって、おいしい料理、顧客獲得のための情報発信、魅力的な内装、真摯な接客など、やるべきことはしっかりとされていました。
専門家も「こうすれば絶対に収益が改善する」というようなことを安易に言えるような状況ではなく、課題を指摘して改善の方向性をアドバイスすることしかできませんでした。それでも相談者にとっては、課題が明確になり、次の具体的な行動へのきっかけになったようでした。
実は、業界のプロとして長年事業に携わってきた経営者が、例えば法律や税務などの専門的な知識に関する相談ではなく、今回のように本業そのものの問題について、経営相談室に相談に来るということは、決して多くありません。実際、「専門家に相談しても、当たり前のわかりきったことしか言われない」と言う経営者もいます。確かにそういうこともあろうかと思いますが、ダメ元で相談してみると、なにか気づきがあるかもしれません。変化が激しく、先が見えない世の中だからこそ、誰かの知恵を借りるという謙虚な姿勢が必要な気がしてなりません。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
▼泉 仁史(いずみ ひとし)へのご相談(面談)
(2025年8月13日公開)
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