第113回 プライベートの悪事に対する罰は有効か|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

なかのひと
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プライベートの悪事に対する罰は有効か

  • プライベートの行動が企業秩序違反となるか
  • 会社は秩序を守りスムーズに仕事することが一番大切
  • 会社の社会的評価に悪影響を及ぼすかが分かれ目

こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。

たとえば社員が業務外のプライベートで不名誉な事件を起こし、地元の新聞に報道されてしまった・・・

プライベートの悪事に対する罰は有効かプライベートの悪事に対する罰は有効か

こんなことが起きたとしたら、目の前が真っ暗になりますよね。
けれど会社としては企業秩序を保つために、早急にその対応を考えなくてはなりません。

プライベートの行動が企業秩序違反となるか

まず自社の就業規則を開いてみましょう。そして「懲戒」の章をみてみましょう。
「不名誉な行為で会社の名誉・信用を毀損したとき」
を懲戒解雇事由として挙げられている会社が多いと思います。

けれどプライベートでの悪事や不始末について、この懲戒解雇事由を適用してペナルティーに処することはできるのでしょうか。

実はこの点がポイントとなります。

懲戒(解雇)は、社員の「企業秩序違反」に対する会社側の制裁であり、一般にプライベートの行動にまで及ぶものではないからです。

会社は秩序を守りスムーズに仕事することが一番大切

社員は労働契約を結ぶことによって、会社に対して労務を提供する義務を負います。さらにこれにプラスして、企業秩序を遵守する義務も負うことになります。

ですから会社が企業秩序を維持し、日常的に仕事をスムーズに行っていくために、たとえ社員の就業時間外でのプライベート上の悪事や不始末であったとしても、その行動が会社の名誉・信用を毀損するなど、企業秩序違反と関係があると客観的に判断される場合は、懲戒(解雇)の対象となります。

会社の社会的評価に悪影響を及ぼすかが分かれ目

それでは、「会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大と客観的に判断される場合」とは、どのような場合なのでしょうか。

判例では、その行為の性質、情状、会社の事業の種類、経営方針、態様、規模、またその当事者である社員の会社における地位、職種などをもとに、総合的に判断を行うとされています。

まとめますと、プライベート上の悪事や不始末は、原則として懲戒(解雇)の対象とはなりません。

けれど会社の名誉・信用を著しく害する場合は、企業秩序違反として懲戒(解雇)の対象になりうる、ということになります。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。

(2016年11月16日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

06-6264-9820
(9:00~17:30※土日祝除く)