事業者が新たなことにチャレンジする際に、「補助金を活用したい」というご要望がよくあります。
公的な補助金は融資と異なり、原則として返済する必要がありません。しかし、補助金は税金が使われていることから、様々な制約がありますし、申請したからといって必ずしも補助金が支払われる訳ではありません。
補助金活用には手間もお金もかかります
補助金についての留意点は色々とありますが、今回は、補助金申請の入り口部分の留意点について説明します。
まず、補助金の対象として、自社が該当するか、自社の購入したい設備が含まれるかなどを確認する必要があります。
また、補助金は、今はあっても次もあるかはわかりません。さらに、同じ補助金でも申請のタイミングによって制度変更されていることもあります。
したがって、まずは補助金の最新情報をしっかりと確認することが重要です。
補助金検索については「J-Net21」というWEBサイトがあります。
また、各補助金の具体的な情報は、それぞれの公式ホームページ等で公募要領などを確認する必要があります。さらに、補助金についての相談(特に制度面の確認)は、各補助金の公募要領などで示されている相談窓口に確認します。
原則として補助金は使った経費の一部しか支払われません。
例えば補助率3分の2で、300万円使った場合、200万円が補助金として支払われますが、残りの100万円は自己負担となります。
また、補助金は原則として後払いとなります。
つまり、補助金が採択(補助金を活用した事業計画が認められること)された後、まず自分で事業計画に基づいて300万円を使い、そのあとで、様々な書類や証拠書類(領収書など)を整理して、補助金の支払いを申請する必要があります。
したがって、最初に必要な300万円を自己資金や融資などを活用してまず準備しなければなりません。
他にも、補助金の採択を受けるために事業計画などの申請書類、また先に述べた補助金の支払いを申請するために書類や証拠書類(領収書など)の提出が必要になります。
採択されなかったり、補助金事務局の要求レベルに合った証拠書類などを提出できなかったりすれば、補助金を受けることはできません。補助金事務局からの書類に関する様々な要求で心が折れそうになる経営者もいます。
さらに補助金によっては、補助金の支払いを受けた後、数年間にも渡ってその後の事業状況についての報告書が義務付けられるものもあります。
つまり、補助金活用には、資金調達、一部資金の自己負担、書類作成などの労力が発生するのです。
したがって、補助金が活用できるからといって、深く検討せずに必要性の高くない設備投資などを行うと、結局のところ費用や労力に見合った成果が得られないといったことになりかねないのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 が担当しました。
泉 仁史(いずみ ひとし)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2022年12月28日公開)
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