第111回 誰でも好きなことで起業できるのか?|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

なかのひと
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誰でも好きなことで起業できるのか?

  • ある創業希望者からの相談
  • もっともらしい言葉は要注意
  • 起業の現実

ある創業希望者からの相談

先日、再就職しようか、創業しようか迷っている方と面談しました。

創業希望者は事実を見極める力が必要です。

よくよく話を伺うと、昨今、色々なところで創業塾が開催され、起業家がもてはやされており、また数年前に受けたどこかの創業塾(産創館ではありません)の講師から「あなた、まだサラリーマンをしているのですか?好きなことで起業すべきですよ!」と言われ、それが頭から離れず、しかし一方で「特にやりたいことも見当たらない」と悩んでいるとのことでした。

もっともらしい言葉は要注意

こういう相談はよくあるのですが、私は「危険だな」と思います。

今回の相談者はビジネス経験の豊富な人でしたが、そういう方でも引っかかってしまうものなのです。

何が危険かというと、起業を目指す人は、いわば起業の「素人」です。そこをプロのコンサルタントが言葉巧みに煽り立てて無理な創業をさせようとしているのです。

しかもその講師の名前を聞くと、創業希望者を相手にビジネスをしている有名な方でした。

起業の現実

「好きなことで起業すべきですよ!」というのは否定しがたい概念であり、できれば誰でもそうしたいのです。

こういう否定しがたい、もっともらしい言葉は注意しなければなりません。私の感覚では、起業がうまくいく人は10人に1人くらいです。

こういうリスクをしっかりと理解しておかなければ、起業という人生の大きな決断を安易にしてしまいかねないと思います。

結局、今回の相談者には起業の現実を説明し、「やりたいことが見当たらないのであれば、自分のビジネススキルを生かせる会社を探した方がよいと思います」とアドバイスしたところ、ご本人は「スッキリしました」とおっしゃり、ホッとした顔をして帰られました。

経営相談室 スタッフコンサルタント 泉仁史が担当しました。

▼泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2016年10月26日公開)

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