海外では、ロシアとウクライナの戦闘が激しさを増し、終息の動きが見えません。その動きと連動して、主にヨーロッパでは欧州中央銀行、アメリカ合衆国ではFRBが高金利政策を推し進めています。この原稿を書いている令和5年1月23日現在、日本は政策金利を0.5%まで上げましたが、欧米ほどの高金利転換政策は見られません。
ともかく具体的に動いてみましょう。
しかし、消費者物価指数は全世界的に上昇しています。
一般家庭には痛手で、このことが消費減速につながる恐れが現実のものになってきています。特に消費が国内総生産の50%を超える日本には景気減速の懸念が付きまといます。
私がそのこと以上に心配なのは、卸売物価指数と生産者物価指数では消費者物価指数程の上昇がみられないことです。
つまり、製造業、卸売業の方たちの利益幅が狭くなっていることです。そして、その傾向の多くは、中小の事業者様に見られます。
つまり経営環境が嵐の状況に陥っているとき、積極策で現状を打破することには、私は反対です。
今までお会いした経営者様の中にも、経営環境が悪いときは、「いたずらに動かず、できるだけじっとしていた。」という意味のことをおっしゃる方が多数おられました。そして、そのほとんどの方が、今でもしっかりとした経営をなさっておられます。
「じっとしていた。」といっても、「何もしなかった。」という意味ではありません。設備投資や店舗拡大、新店舗出店などの大型投資ではなく、今何ができるのか、足元を見直す、という意味です。
現在のように経営環境が非常に悪い中でなくても、いわゆる平時でも「今できること」を積み重ねるということは大切です。
経営セミナー等のフォーマットによくあるのですが、企業が今後進む方向性を決める場合、「・誰に・何を・どのように提供するのか」という全体戦略を決めることからスタートします。その後、具体的な「商品政策」「流通経路」「価格設定」「営業手法」等を決めていきます。
もちろん、上記内容は経営戦略立案の基本なのですが、具体的に「誰が」「どの商品を」「どうやって」「どのくらいの売上まで」責任持って売るのか、ということは、なかなか話が進まないケースが多いのも事実です。
誰もが販売ノルマ等を負うことになるのは嫌ですからね。
そこで、再び今の経営環境・状況に戻って販売チャネルや商品戦略を見直してみます。
今のように、コロナ前と比べて販売が厳しい状況では、自由に使える時間が増える、ということが言えませんか?
その時間を使って、昔好評だったイベントで忙しさに紛れていつの間にか途切れたもの、取引先の再精査、売れ筋製品の再精査を実行してみてはいかがでしょう。新しい営業政策、営業力強化、製品開発につながります。
経営相談室 スタッフコンサルタント 森 が担当しました。
(2023年2月8日公開)
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