第231回 ビジネスモデルキャンバスの具体例と活用方法|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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ビジネスモデルキャンバスの具体例と活用方法

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ビジネスモデルキャンバスとは

みなさん、こんにちは。
スタッフコンサルタントの谷口です。
だいぶ暖かくなってきて、過ごしやすくなりましたね!

自社のビジネスモデルを棚卸してみませんか?

さてみなさん、ビジネスモデルキャンバスってご存知でしょうか?
一言でいうとビジネスモデルを一枚のシートでわかりやすく構造化したものです。
一枚のシートで事業の全体像を把握できるため、様々な活用方法があります。

ビジネスモデルキャンバスの構成は、9つの項目に分かれています。
顧客セグメント・・・どんなお客様をターゲットにしている?
価値提案・・・その商品・サービスを利用することでどんな恩恵を得る、もしくはどんな困りごとの解決につながる?
チャネル・・・エンドユーザーに届けるための販路は?HP?店舗?販売代理店?
顧客との関係・・・どのようにブランディングしている?リピート施策は?
収益の流れ・・・このビジネスモデルで発生する重要な収益って何?
リソース・・・自社の強みや、その源泉となる経営リソース(人・もの・金・情報)は?
主要活動・・・お客様への価値を創造するためにどんなことを行っている?
パートナー・・・自社で足りないリソースを補うために、どの取引先とタッグを組んでいる?
コスト構造・・・このビジネスモデルで発生する重要なコストって何?

各項目を埋めていくだけで、ビジネスモデルを構築でき、俯瞰的に把握することができます。
また空白や内容が薄い項目は、まだまだ検討の余地があるかもしれません。

ビジネスモデルキャンバスの具体例

具体例があったほうがわかりやすいので、コンビニのビジネスモデルキャンバスを例に説明します。

<コンビニのビジネスモデルキャンバス>
顧客セグメント・・・近隣の住民
価値提案・・・日常的に必要なモノ・サービスが一か所でほとんど手に入る。
チャネル・・・立地のいい店舗
顧客との関係・・・「必要なモノはコンビニで」というブランディング
収益の流れ・・・商品・サービスの販売収益。利便性という価値を提供しているため、安売りは基本しない。
リソース・・・莫大なPOSデータ
主要活動・・・売れ筋商品の分析
パートナー・・・メーカー、銀行、宅配業者など様々
コスト構造・・・商品の仕入れ

重要なことは、それぞれの項目同士の整合性がとれているかです。
例えば「顧客セグメントに合ったチャネルの選定と価値提案を行っているか」、「リソースを活かした主要活動を行い、それが価値提案に結びついているか」などです。

すぐれたビジネスモデルは一貫性があり、各項目をつなげてストーリーとして語ることができます。
上記のコンビニで言えば下記のようになります。

「経営リソースであるPOSデータを活用して、売れ筋商品を分析することで、売れる商品だけをメーカーから仕入れることができる。
その結果、近隣の住民が行きやすい立地の店舗で、必要なものがほとんど手に入るという利便性を提供している。
お客様の頭のなかにも「必要なモノはコンビニで」というブランディングが形成され、リピートにつながっている。
リピートによりPOSデータがさらに蓄積されることで、欲しいものだけが店頭に並び、ますますお客様への提供価値の向上につながっている。」

どうでしょうか。ストーリーとして一貫性がありませんか?

ビジネスモデルキャンバスの活用方法

ビジネスモデルキャンバスは様々な活用シーンがあります。

■起業時のビジネスモデルの構築
これから起業する方が、ビジネスモデルに収益性・成長性・実現性があるか、または検討モレがないか確認できる。
また利害関係者に事業内容を説明するツールとして活用できる。

■現状分析とあるべき姿の構築
補助金申請や経営計画作成前に「現状」と「あるべき姿」をビジネスモデルキャンバスで描き、その差分から問題点・課題を明確にすることができる。
そこから解決策を導き出し全体を肉付けすることで、説得力のある事業計画書を作成することができる。

■競合分析
競合のビジネスモデルキャンバスを作ることで、競合がどの領域に選択と集中をしているか分析することができる。

ビジネスモデルキャンバスを会社の共通言語とすることで、上記の活用方法について部門間や立場の違いを超え、複数の人間で議論することができます。

ぜひ一度チャレンジしてください。

経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口 が担当しました。

▼谷口 睦(たにぐち むつみ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2019年4月10日公開)

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