第454回 人手不足を補う副業・兼業人材の活用法|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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人手不足を補う副業・兼業人材の活用法

  • 深刻化する人手不足
  • 活用が進む兼業・副業人材
  • 兼業・副業人材の留意点

深刻化する人手不足

経営相談室の東です。
暑かった9月。朝晩は涼しさを感じるようになりましたが、10月に入っても日中はまだまだ暑い日が続きそうですね。衣替えのタイミングが悩ましいです。

人材確保策を外部人材まで広げてみよう

人材確保策を外部人材まで広げてみよう

さて、前回、深刻化する人材不足に対応するため、中小企業庁から発表された中小企業・小規模事業者人材活用ガイドラインをご紹介しました。
日々の経営相談においても人手不足の悩みがますます深刻化していることを実感します。

人手不足解消の方法として、事業者が直接雇用する「採用」を選択肢として考えるケースが多いように思われます。
しかしながら、人材獲得競争が激化している中、求職者に自社の存在を探し当ててもらい、他の候補となる事業者の中から選ばれたうえで、書類選考や面接の過程を経ることを考えると、必要なタイミングで求める人材を確保できるとは限りません。
また、特に管理能力や専門性を有する人材の確保はより難易度が高くなります。

活用が進む兼業・副業人材

そこで新たな選択肢となっているのが、第450回でも紹介した「副業・兼業」人材の活用です。
どのようなスキルや経験を持っているのかが明確であり、大手企業を中心に副業・兼業の解禁が進み、オンラインでのコミュニケーションも浸透してきたため、副業・兼業人材の活用場面は広がりつつあります。

副業・兼業人材の活用については、主に下記の3つの依頼の仕方に分けられます(関東経済産業局「兼業・副業人材活用のススメ 〜多様な人材活用で 経営力を高める〜」から抜粋)。

タスク型:従来の外注的な仕事を担う。期間(人日)、作業内容、納品物が明確。
例)バナーやロゴをデザイン、データ入力や翻訳業務

プロジェクト型:中長期的に主体性を持って携わる。期間(数か月~数年)、業務範囲、成果物が明確。
例)社内システムの導入・開発・回収、新商品のマーケティング活動、顧客管理のDX化

ミッション型:社員と同等の帰属意識や責任を持ち、同じ目線で働く。期間や成果物は限定せず、ミッションに基づき役割を遂行。
例)企業の認知向上、ブランディング、企業の人材開発(採用~育成)

特に、プロジェクト型やミッション型のように、社内のメンバーとして主体的に関わってもらうことで、社内にはない副業・兼業人材の知見を蓄積することができます。

副業・兼業人材活用時の留意点

一方で副業・兼業人材を活用するときの留意点もあります。

1.依頼したい業務を適切に切り出す
2.どこまで依頼するのか、求める要件や成果の定義づけを明確化する
3.契約内容の具体化及び書面化して合意形成しておく
4.フルタイム勤務ではない場合、関われる頻度に制約があるため、メールやオンラインによるコミュニケーションツールを用いるなど、進捗報告の方法や手段を工夫する必要がある
5.副業・兼業人材がパフォーマンスを発揮できるようコミュニケーションには配慮が必要である

特に5については、受け入れる側の社風や文化と異なる人材と関わるため、自社には今ない価値観や多様性を受け入れる配慮が必要となりますが、副業・兼業人材との協業が、今いる従業員にとって新たな刺激や学びとなり、成長のきっかけになるというメリットもあります。

これらの留意点は経験値がないと判断が難しい側面もありますので、ぜひ下記までご相談ください。
大阪府プロ人材 中核人材雇用戦略デスク

経営相談室の東が担当しました。

東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィール

(2023年10月11日公開)

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