「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」という言葉を覚えている方は、私と同世代ですね。ただし、最近の世界情勢はもっと複雑です。
安全対策は情報収集から
身近に感じるケースは、ウクライナ情勢に端を発したサプライチェーンの混乱によるガソリン代などの価格高騰です。飲食店やスーパーでも、欠品や値上げのお願いを見かけることが多くなりました。
少し前には、建設業におけるウッドショックなどの例もあり、ものが無ければ、売るものもなく、事業が続けられなくなるので切実な問題です。
これまで、材料高騰は海外取引を行う企業の経営課題と捉えられてきました。経済がグローバル化したことにより、国内にいても海外の影響を受けやすくなっています。
今回は、価格変動時の対策について考察しました。
価格変動は従来からも経営課題であり、(1)価格転嫁、(2)調達品先と方法の変更、(3)リスク移転が対策として取られてきました。
(1)価格転嫁
値上がり分をそのまま価格転嫁できれば問題は解決します。この方法は簡単に見えますが、顧客離れが発生するので慎重な対応が必要です。
製造業では、原材料の価格と人件費などの項目を分けて情報を開示し、顧客の理解を得て価格交渉をしていたケースなどがあります。
また、「物価高騰」といった抽象的な表現だけでなく、「ガソリン価格が高騰したため輸送費が上昇した。」など、理由をできるたけ具体的にすることで買い手に対して説得力が高まります。
(2)調達方法の変更
共同仕入れ、調達ルート変更により原材料価格を下げる対策です。同じ材料を使う製造業が共同で仕入先を確保し、価格を抑える取り組みです。すぐには仕入先が見つからないので、定期的に仕入先を探すなど地道な活動が必要です。
(3)リスク移転
価格変動のリスクを移転し、顧客に材料調達をしてもらう方法です。材料調達を顧客が行うので価格変動の影響は受けにくくなります。この方法は、材料管理の手間や売上高減少(売上が加工賃のみになる)などの影響があります。
従来は、上記のような方法を組み合わせて対策してきました。
事業計画などで事前にシミュレーションすることもリスク対策の一つです。
事前に準備をすることで、変化にもスムーズに対応できます。事前準備の中で新たな経営課題も見えてくることもありますので、経営相談などを活用しながら進めてください。
最近の海外情勢は目まぐるしく変化し、想定外のケースも想定されます。緊急時には下記のような行政機関による相談窓口も設置されます。こうした緊急時には窓口での情報収集と併せて対策を進めていきましょう。
経営相談室 スタッフコンサルタント 大西 が担当しました。
大西 森(おおにし しげる)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 大西 森(おおにし しげる)のプロフィール
(2022年6月1日公開)
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