韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が米国アカデミー賞作品賞他3部門を受賞したことが話題になっています。これは、韓国が国を挙げて放送・映画コンテンツを海外に積極的に輸出してきた一つの到達点と見ることができます。
ちょっと古いデータになりますが、平成27年度版情報通信白書によると、放送および映画の海外輸出額は、日本が2億600万ドルに対して、韓国は3億4600万ドルであり、韓国は日本の1.7倍になっています。
こういうデータを見ると、韓国と日本の海外展開に対する意識の違いが気になってしまいます。
中小企業向けに海外展開に関する相談を行っていますが、結局、多くの日本の中小企業は海外展開まで到らないことが多いように感じます。
理由としては資金・リスク・人材など色々な要因が存在するのですが、「わざわざ海外に出ていかなくても特に困らない」ということが根本にあるように思います。
なぜなら、日本の人口は1.2億人で、韓国(5千万人)の2倍以上あり、多くの日本企業にとっては国内だけで十分な市場が存在するからです。
また、日本人は仕事などで海外に住むことがあっても、「やっぱり日本がいい」ということで、結局、日本に戻ってくる方が多いように思います。
やはり多くの日本人にとっては日本が一番居心地がいいのです。
とはいえ、今後、日本の人口は急激に減少することは確実であり、2050年には9500万人、2100年には5000万人を切るかもしれない、と言われています。
一方で、世界の人口は増え続け、現在77億人の人口が、2050年には97億人、2100年には109億人になると言われています。
今日生まれた子供たちは2100年には80歳です。
彼らが亡くなるまでの間、日本はずっと生きやすい、居心地のいい国のままなのでしょうか?海外で稼がなくても今のような暮らしを維持できるのでしょうか?そう考えると、日本の中小企業も長期視点で海外展開を考えておいてもよいのではないか、と思ってしまうのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉仁史 が担当しました。
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(2020年2月26日公開)
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