少し前の話ですが、ある町工場の経営者の方からご相談がありました。
経営者の方は「うちは、お客様からの多様な注文にも素早く対応できるところが特徴です。受注も順調なのでもう少し置き場を確保したいと思っています」とお話ししてくれました。
私は本当に置き場所を増やす必要があるのかなぁ?と思いながら現地に伺ってみると工場内の至る所に置き場が作られている状態でした。
現地で特に気になったのが、段取り替えの回数が少なく、完成品在庫が相当数積み上がっていることでした。
現場にヒアリングを行い、受注伝票と生産計画を確認し、現場観測を通じて明らかになったのは、受注以上にモノ作っている「作り過ぎのムダ」でした。
なぜ作っているのかを確認したところ、「機械をできる限り回して段取り回数を減らしたほうが効率的」「立ち上げ時のムダを防ぐことができる」「次の受注でタイムリーに納品できる」「多少在庫しても資金に与えるは影響は少ない」などでした。
これらの理由は気持ちは分かるのですが経営的には好ましいものとはいえません。
生産管理の改善ではトヨタ生産方式の7つのムダがよく挙げられます。
なかでも今回の「作り過ぎのムダ」は最悪のムダと呼ばれます。運搬、加工、在庫、動作、不良につながり、財務面では手元資金を圧迫するからです。
今回のケースでは置き場の確保がねらいだったのですが、工程管理と段取り改善で今後の「作り過ぎのムダ」を抑制し、今ある在庫は、お客様を含む引き取り相手を見つけて一掃すること新たな置き場を作ること無く課題を解決することができました。
もし、読者の皆さんにも思い当たるところがあれば、ご相談をいただければと思います。一緒に改善策を考えていきましょう。
経営相談室 スタッフコンサルタント 服部 繁一が担当しました。
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(2016年8月10日公開)
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