年度末となり、来年度はどのようなことに取り組もうかと考えている人は多いのではないでしょうか。私は、スポーツ観戦、スキルアップとやることが大量の1年になりそうです。
顧客視点を大事にしましょう
さて、今回は頻繁に経営相談を受けるマーケティングについて書きたいと思います。経営相談のなかで、「メインの顧客はどんな人ですか?」と私が尋ねると、「大人の男性(女性)、20代~60代」という返事が返ってくることがよくあります。幅広い層を顧客にしたい気持ちは分かりますが、20代と60代では大きな世代間の差があり、好みや価値観、よく使用する情報媒体(テレビ、新聞、SNSなど)が異なるため、幅広い層からの高評価を得ようとするあまりに、結局誰からも評価を得られないことがよくあります。
メイン顧客を絞ることは勇気がいりますが、自社の強みを活かした製品・サービスを本当に理解・評価してくれるのはどんな人なのかを掘り下げて考えることが重要です。マーケティングでは、年齢、性別、家族構成、ライフスタイルまで細かく記した「ペルソナ」という架空の「理想顧客」を設定することがよくあります。もちろん、ペルソナの設定は大変重要ですが、ここで留まらず、可能であればペルソナに近いイメージの人にインタビューをするなどして、メインの顧客が何を求めているのかを把握することに努めるようにしてください。
次に考えていただきたいのがマーケティングの4Cです。
マーケティングでは4P(Product(製品・サービス),Price(価格),Place(流通), Promotion(販促活動))が有名ですが、これは製品・サービスを提供する側の視点で考えるものであり、時折提供する側の“一方通行”、“独りよがり”ではないかと感じることがあります。そこで、顧客視点の4C(Customer Value:顧客価値、Cost:コスト、Convenience:利便性、Communication:コミュニケーション) です。提供する製品・サービスが顧客にとってどのような価値があるのか、顧客にとって適切なコストなのか、顧客が手軽で便利な方法で購入できるのか、顧客に情報がきちんと伝わっているのかという顧客視点で考えるのです。このように顧客視点で考えてみると、意外と足りていないことに気が付くことがよくあります。
顧客視点の4Cを紹介しましたが、何から重点的に取り組めば良いのかというと「Customer Value(顧客価値)」です。最近では、SNSを活用したコミュニケーション手法が主流であり、相談件数も多くなっています。しかし、情報が溢れている今、SNSを活用して「どのように」伝えるかに取り組む前に「何を」伝えるかが大変重要となります。この「何を」にあたるのが「Customer Value(顧客価値)」です。
「Customer Value(顧客価値)」は独自性と便益の2つを中心に考えます。独自性とは、他社にはない模倣困難な強みで差別化要因となり、便益とは、「便利」、「簡単」、「楽しい」や「不満・不足の解消」などの顧客が感じるメリットなどです。つまり、顧客にとって“本当に”価値があり、独自性がある製品・サービスが何かを突き詰めて考えることが最も重要なのです。
大阪産業創造館の経営相談室では、マーケティングの専門家への相談が可能ですし、消費者の声を直接聞ける「サンソウカンdeモニター会」もあります。また、新しいプログラムとして、「起業準備ラボ <仮説検証編>ターゲットの声で磨く選ばれる商品・サービスづくり」も始まります。
皆さまの積極的な活用をお待ちしております。
「経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました。
▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)
(2025年3月26日公開)
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