みなさん、こんにちは。
大阪産業創造館 経営相談室の太田です。
第96回アカデミー賞授賞式が2024年3月11日(日本時間)に開催され、山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞を受賞しました。アジア初の同賞受賞という快挙を成し遂げた同作の制作チームはどのようなチームだったのでしょうか。
人材を最大限に活用しましょう!!
制作に関わったスタッフは35名と少なく、制作費は明らかになっていませんが、制作スタッフ数、制作費ともに、アカデミー賞を争った世界の作品と比べて、何分の一、何十分の一と言われております。
日本の小さなチームが世界の強豪を相手に競ったという構図から、中小企業診断士として、制作チームに強い親近感が沸いてきます。この制作チームの成功要因について「求める人物像」と「能力の活用と評価される環境」という観点からみてみたいと思います。
制作チームを率いた山崎監督が求めた人材は、「才能があって優しい人」でした。才能があるのはわかりますが、“優しい人”というのは珍しいですね。
これには理由があります。良い作品を作るために、色々な意見を気後れせずに言えることを大切にしましたが、同時に相手の立場をちゃんと考えることも大切にしました。つまり相手の立場をちゃんと考える“優しい人”です。リーダーが理想とするチームを思い描き、そこに必要になる人材の要件を明確にすることは、人材採用において大変重要なことだと思います。
その「才能があって優しい人」に該当する20代のスタッフがいました。このスタッフは、山崎監督にも臆することなくはっきりと意見を言い、自分の考えで高いクオリティの映像を制作することで作品の完成に貢献しました。特に作品中に出てくる海のシーンはこのスタッフの高い技術によるものですが、元々はこのスタッフが趣味で制作した映像だったそうです。山崎監督はこの趣味で制作された映像をみて、高い技術をさらに作品に活かそうと考えました。そして、臨場感溢れる海のシーンを増やすことで、このスタッフの活躍の場を広げたのです。
その結果、アカデミー賞の授賞式に出席する4人をチーム内の投票で選ぶ際に、“海のシーン”を制作した20代のスタッフが選ばれました。
高い能力を持ったスタッフに活躍の場を与え正当に評価することで、スタッフのモチベーションが高まり、さらにチームに貢献するという好循環が生まれたのだと思われます。
また、そのスタッフが単に意見を主張するだけではなく、相手の立場を考えながら信頼関係を築いたからこそ授賞式出席者に選ばれたのではないでしょうか。
現在の企業経営も多様な人材を活かすことが求められます。まずは求める人物像が明確になっているか、従業員の能力を十分に活用できているか、さらに従業員が正当に評価される環境を提供しているかに目を向けて、成果を出す組織づくりができているか振り返ってみてください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました。
太田 信之(おおた のぶゆき)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2024年4月24日公開)
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