早いものでもう12月となりました。皆さまにとって今年はどのような年でしたか。忙しい日々ですが、今年の振り返りと来年に向けての計画や抱負を考えたいですね。

平時から対策を考えましょう!!
さて、近年、熊の出没だけではなく人身被害にまで及ぶニュースが全国各地で相次いでいますが、熊による被害がこれほどまでに広がった背景として、熊の生息地である山林の環境変化が臨界点に達したことを指摘する専門家もいます。環境変化が徐々に進み、ある一定の限界を越えると一気に状況が変わることは、中小企業を取り巻く環境でも起こりうることだと思われます。
熊による被害のような劇的な環境変化は、私たちが「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる時代に生きていることを象徴しています。VUCAとは、「Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉で、まさに「先が見通しにくい」状況を指します。 このような時代を生き抜くために、中小企業は下記のようなリスクを考えることが求められます。
1.地球温暖化による自然災害の増加
大型台風や集中豪雨、猛暑などが常態化し、建物の浸水や損壊、サプライチェーンの寸断といった物理的なリスクが格段に高まっています。
2.生成AIの台頭
業務効率化の切り札となる一方、既存の業務が陳腐化するスピードも速く、対応が遅れれば競争力を失うリスクがあります。
3.不安定な海外情勢
地政学的リスクは、原材料の調達難、エネルギー価格の高騰、為替の急変動など、中小企業の経営基盤を根本から揺るがします。
これらに限ったことではありませんが、中小企業を取り巻く環境は様々な要因が複雑に絡み合い、これまでの成功体験が通用しない、予測困難な時代を迎えています。
VUCAの時代において、リスクは「起きてから対応する」ものではなくなりました。特にリソースの限られる中小企業にとって、一度の大きな打撃が経営の存続を左右しかねません。重要なのは、何事もない「平時」から、自社にとって最悪の事態を想定しておくことです。
具体的には、企業に深刻なダメージを与える事態を予測し、対応策を考える「事業継続計画(BCP)」の策定などが重要となります。「豪雨で工場が水没する」、「主要な取引先が倒産する」、「自社の技術がAIに取って代わられる」など、こうしたシナリオを具体的に描き、その際に事業をどう継続・復旧させるかを予め決めておきます。
例えば、供給元の分散、データのクラウド化、テレワーク体制の整備、緊急時の資金繰りの確認などが挙げられます。平時にリスクを洗い出し、優先順位をつけ、対策を講じておくこと。この地道な備えこそが、予測不能な環境変化を乗り越え、企業を存続させるための最大の武器となります。
「経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました
▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)
(2025年12月3日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ