こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。
今年(2016年)に入って、一部上場企業で社員の副業を解禁したことが話題になりましたね。
一方で、週末起業を思い立ったものの、会社と副業との兼ね合いに悩んでいる人もいるかもしれません。
また「マイナンバーで副業は発覚するか」とのトピックスも、雑誌などのメディアを賑わしていた時期もありました。
みなさん総じて、「副業(兼業)」についての関心は高そうです。
兼業を禁止している会社は、今のところ多いかもしれません。これに違反すると懲戒解雇としている就業規則もあるでしょう。
会社としては、社員が他社でアルバイトすることによって本業がおろそかになり、企業秩序が乱れることを防ぎたいからです。
けれどそもそも就業時間外に何をするかは、社員の自由に委ねられています。家で家族とテレビをみて団らんするのも、友達と映画を観るのも、パートナーと食事するのも、余暇は会社があれこれ口出しするものではないですよね。
それと同じで他社での就業があったからといって、直ちに兼業禁止規定に違反していることにはならない、と考えられています。
けれど一方で、社員は会社と労働契約を取り交わすことで、「誠実に労働提供を行う義務」があります。
たとえ就業時間外であっても、他社で引き続き働くとなると、疲労困憊になってしまい、翌日の本業に支障をきたしてしまうこともありえるでしょう。
また、他社での仕事内容、その兼業先いかんでは、会社の信用問題に関わることがあるかもしれません。営業秘密やノウハウ等が漏えいして、企業秩序を乱すことも考えられるでしょう。
遅刻・無断欠勤など表立った会社業務への影響があったり、勤務態度や勤務成績にも問題がある。このように労務提供ができなかったり困難な場合、その原因が兼業にあるとすれば、単なる債務不履行だけではなく企業秩序を乱すことへつながります。
また競合会社でのアルバイト、深夜業などは、誠実義務に違反することもありえます。
このように合理的な理由があれば、会社は従業員の兼業を禁止することができます。
先の例のような禁止される兼業にあたる場合でも、ペナルティーの効力は、
について総合的に判断しなければなりません。
ペナルティーのひとつである懲戒解雇が、解雇権の濫用とされる場合もありますので、注意が必要です。
本業以外の仕事に携わることで、視野が広がり気付きがあって、新しい発想やアイデアが生まれる。それを本業へフィードバックすることで会社のビジネスチャンスにつながり、社員自身もモチベーションがあがる。そんな好循環も期待できるかもしれません。
関心が高いタイミングの今、自社における副業(兼業)のあり方を考える良い機会にしたいですね!
経営相談室 スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。
(2016年10月5日公開)
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