第68回 物流アウトソーシングと経営の現実|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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物流アウトソーシングと経営の現実

  • 経営管理はシンプルに 入るを量って出るを制す。
  • 経営管理は現金主義 コストとキャッシュアウトは別
  • 経営管理は現場主義 一目でわかる問題点

入るを量って出るを制す。

京セラの創業者 稲盛和夫さんが本に書いておられます。創業当時、経理は全く分からなかった。財務の専門家に聞いても、専門用語が飛び交い、益々わからなくなった。

経営は「スマート」にはいきません・・・

しかし、よくよく考えてみると収益が費用を上回ればよいのだと、シンプルな経営の原則に気付いた、ということです。

さらに、損益計算書ベースで利益が出るだけでなく、大事なのは資金繰り。資金がショートしないように回収を早め、支払いを締めることが肝心です。

コストとキャッシュアウトは別

「物流なんか自分でやらなあかん。」あるアパレル会社の社長がおっしゃった言葉です。物流は一つの例えです。要は、安易に外注を使うな、ということ。

この会社は設立30周年、年商は10億、内部留保は4億を超す超優良企業です。業務内容は、メンズアパレルのOEM、しかも量販向けがほとんどです。中国、ミャンマー、バングラデッシュで年間70万枚生産します。

物流費が一枚当たり100円かかる、とする。自社で物流までやれば、70万枚×100円=7,000万円の現金が会社に貯まる。物流にかかる人件費も外注費もコスト=販管費ですが、キャッシュフローで確実に7,000万円の差が出る。

経営管理は現場主義

物流の問題を貸借対照表の観点で考えましょう。これも前述の社長の言葉です。「自分が仕入れた商品を目の前に置いとくんや。そしたら、売らんとえらいこっちゃ、となる。」

在庫が増えると現金は減ります。一日も早く得意先に引き取ってもらう、一刻も早く代金を回収する。それしかありません。

在庫は倉庫に預ける。在庫情報はスマホでいつでも確認できる。スマートです。しかし、システムにかけたお金が必ずしも潤沢な資金につながらない。目の前の在庫に対する危機感、荷捌きに流す汗。この現場主義がキャッシュフロー経営の基本だと思いますね。

経営相談室 スタッフコンサルタント 森が担当しました。

(2015年12月2日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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