とある企業の話です。
社長には3人の子ども、2人の男子と1人の女子がいました。
親である限りどの子もかわいいのは当たり前です。
そのため、相続に関してもできるだけ平等になるように扱ってきました。
もちろん株式に関しても平等です。
事業の承継に関しては社長の座を長男に譲り、次男は専務の職につけました。
娘は特に社業には関わりはなかったのですが、
同族企業でよくあるように形だけの監査役に据え、
小遣い程度の報酬を支払うことをしていました。
社長が存命の内は特に問題にもならず、3人とも父親の意見に従っていました。
しかし、父親が他界した途端、兄弟間で争いが起きました。
その時の株の持ち分は3人平等。
つまり3分の1づつでした。
そこで次男と長女がタッグを組み、長男つまり社長の追い落としを企んだのです。
もちろん2人合計の株式の議決権は過半数を超えますので、
社長(長男)の解任決議は承認されることになりました。
この話からは、大きく2つのことを教えられます。
まず、兄弟平等に扱うことは親の務めとして当然のことではありますが、
こと経営権に関しては誰かひとりに集約しておくことが大切であることです。
つまり、株式は社長を譲った長男に、
その他の財産で株式の分も含め平等になるようにすることが大切なことであること。
2つ目は兄弟同じ会社に入れることがいいのか、
できれば1人に絞った方がいいのではないかと、ということです。
兄弟が同じ社内にいる時は、製販分離などの分社を行い、
それぞれに事業を承継させるなどの手段をとるケースもあります。
親と経営者、時として二律相反の関係になってしまいます。
解決が難しい悩みです。
担当:田口 光春(タグチ ミツハル)