第35話「株式対策は会社が儲かっているほど苦労する」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第35話「株式対策は会社が儲かっているほど苦労する」

ある設備機器メーカーで日本のみならず世界的にも高いシェアをもつ企業の話です。
株式上場はしていませんが、売上規模、利益水準ばかりか資本金も東京証券取引所一部市場の上場企業に匹敵する企業内容です。

現在は2代目社長で、創業者の長男が経営を仕切っています。
創業者が現在の主力事業に着目し製品化に成功、いち早く国内市場を席巻したことに加え、海外市場への展開も素早かったことから、高収益を長年継続してきました。

こうした高収益であり、未上場企業は自社株評価が高くなります。
儲かっている企業ゆえの悩みでもあります。

そこで創業者である現社長の父がとった対策は、株主の非同族化でした。
銀行や生命保険会社、損害保険会社など数社のほか、従業員持株会を組成して株式を保有してもらいました。
その結果、同族の持株比率は15%を切るまで引き下がり、同族の株式評価方法が原則的評価方法(類似業種比準方式)から特例的評価方法(配当還元方式)に変わったのです。
その効果はとてつもなく大きく、親から息子への事業承継は円滑に進みました。

ここで、この対策のポイントです。
なぜ15%にも満たない株主関係者で事業承継ができたのでしょうか?

それは株主を同族以外に求めたときに、経営には干渉しない銀行、保険会社、従業員持株会などを対象とした点にあります。
一見、銀行や保険会社は経営に干渉しそうな感じがしますが、経営がうまくいっている限りは、特に関与されないどころか応援団になってくれます。
更に、銀行本体が企業に出資する場合には5%、保険会社は10%を上限とすることが定められていますので、単独では脅威となる比率ではありません。

ただ、利益を出して安定的に配当をしていく必要があります。
さらに非上場企業の従業員持株会では配当だけが株主に報いる手段ですので、それを続けていくことが絶対ともいえる条件となるのです。

こうして株式は分散されましたが、創業家で事業承継が行われ、安定した経営が継続されています。未上場でありながら、トヨタ自動車の事例のようでもあります。

この事例を読まれた企業が「当社も」と思われても、今は実現することはなかなか難しいと言わざるを得ません。
それは銀行には金融庁、日本銀行などの自己資本規制もあり、未上場企業のみならず上場企業の株式すら本体で保有することは、現在は殆どありません。
この話は今から半世紀近く前に行われた事業承継対策なのです。

時代とともに事業承継対策も変化しています。
今、このケースと同じような対策を行いたい場合は、従業員持株会はもちろんのこと、単独で経営権に影響を与えない比率を複数の取引先などに分散して保有していただくなど、いろいろな組み合わせを活用することになるでしょう。

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

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