第72話「突然の承継を謙虚な姿勢で乗り切った20代の女性後継者」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第72話「突然の承継を謙虚な姿勢で乗り切った20代の女性後継者」

創業1世紀近くになる地場産品メーカーの、20数年前にあった社長の交代にまつわる苦労話です。

現社長は3人姉弟の次女、姉と弟がおられました。
大学卒業時には、会社を継ぐとは全く思っておらず、大学があった地域の企業に就職していました。
しかし、父親である当時の社長の多忙さを見聞きするうちに、父親の助けになればと思い会社に入りました。
姉は既に嫁ぎ、弟はまだ高校生であったことも、入社を決めた背景にあったようです。

入社して2年にも満たないある日、父親に病魔が見つかり、その後1年余りで逝去されました。
会社の後継について、何も考えを残しませんでした。
姉弟は母親も交え、今後について話し合いをしました。
その結果、会社に関わっている次女が社長をすることが一番よいという判断をされました。
将来、弟が後継を望むなら、その時に話し合いをすることも決めていたそうです。

結果的には、以来20年余り、現在まで次女が社長を続けています。
弟は元々学究肌であり、学卒後も大学に残り研究者の道を進まれました。
父親もなんとなく感じていた節がある、という話を母親がしていたようで、後継について考えを残さなかったのは、そのことがあったからではと考えられています。

社長の役割については全くの素人であった現社長に、当時の心境をうかがったことがあります。
「社長になりたての頃は、『指導者であらねばならない。何でも指示できる社長であらねばならない』と肩肘を張っていた」と仰いました。
しかし、意気込むほどに歯車は空回りしたようで、社員ばかりか取引先との関係もギクシャクするようになったそうです。

そこで考えを改め、『謙虚であるべきだ。周りはみんな私より先輩。私は素人同然』と、開き直って何でも質問するようにしました。
社員には、「なぜ?」「なぜ?」を連発。
また、情報共有のために会議を頻繁に開き、そこでも聞き役に徹したとのことでした。
そうするうちに、社員とも打ち解けた関係ができてきたようです。

そして時期を見計らって、若い女性からという観点で提案をするようにしたところ、受け入れてくれるようになり、業績も上向いてきたとのことでした。

“社長であらねばならぬ”“社長であるから”といって実力以上のものを出そうとしても無理なことです。
周りの人、特に社員からどれだけの協力を引き出せるかが、若くして社長となった人の姿勢で必要なことだと、この女性社長から改めて学びました。
「少しは社長らしくなったと父親がほめてくれているかな」と微笑まれた社長のお姿を思い出すと、私も心が温かくなってきます。

(2020年1月21日更新)

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

「突然の承継でも、肩に力の入ったままでは実力は発揮できない」
「実力以上のことを無理にしても周りは受け入れてくれない。自然体こそ成功の鍵」
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