第50話「外部からの社長招聘は難しい」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第50話「外部からの社長招聘は難しい」

創業70年を超える会社で、私が知り合った当時60歳代後半であった2代目社長に関わる話です。
精密機械の重要部品を製造し、業界では高い地位を確保していました。
業績は順調でしたが、社長の悩みは後継者でした。

社長にはお子さんが二人いましたが、二人とも女性で、既に別の家庭を築き、会社を継ぐ可能性は殆どありませんでした。
弟さんも専務として社長を補佐していましたが、年齢も近く、後継者には相応しいと言えない状況にあったのです。

そこで取引銀行に相談したところ、間もなく銀行を早期退職する予定だった社員を、将来の社長候補として紹介されたのです。
早速役員として迎え入れ、当面は社業を学んでいただくことにしました。

銀行出身ということで、製造現場や製品開発といった専門分野では流石に社員を超えることはできませんでした。
しかし、多くの人と接してきた経験で、販売面や専門である財務・経理については、社長の期待に応えるものがありました。
そこで70歳を超えたこともあり、社長を交代することとし、会長として新社長の不得意な開発、製造面と業界の付き合いをサポートする体制としたのです。
事業基盤が強固な会社でしたので、社長交代はスムーズに行うことができました。

次に経営課題となったのは、事業拡大に伴う生産拠点の整備でした。
会長が社長時代から将来の大きなポイントとなることを予測しており、既に候補地を取得していました。
いよいよ着手しなければならないといううれしい状況となり、全面移転を決定したのです。

その時大きな問題が発生しました。
社長が新社屋への移動を通勤が大変になるという理由で難色を示したのです。
移転するなら社長を辞任すると。
しかも法外な、創業社長に匹敵する額の退職金も要求してきました。

突然の申し出で、次の社長候補者が見当たらず、仕方なく会長が社長に復帰することになりました。
退職金も泣く泣く支給することにしました。

この話を聞き、辞任した社長に怒りすら覚えるとともに、復帰した社長を気の毒に思えて仕方ありませんでした。
辞任した社長は、会社のことを自分の会社と感じることはなかったのでしょう。
外部から要請した人を社長にする場合、最低条件は「会社を自社と思ってくれる人であること」を痛感した事例でした。

(2018年2月27日更新)

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

「社内に適任がいない場合は、外部に助けを求めることも一手」
「外部登用であっても、本当に会社のことを思ってくれることが社長を任せる最低条件」
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