ある老舗企業の歩んだ道です。
創業者は起業家精神にあふれ、一代で海外まで展開する事業に育て上げました。
社長には事業運営に関して特段悩みはありませんでしたが、唯一、後継者、事業承継が頭の痛い問題でした。
お子さんは男女一人づつありましたが、二人とも将来を嘱望された芸術家の卵で会社経営にはまったく興味なし。
奥様も芸術を始めとして多趣味で、同じく経営には興味なし。
社長は悩みました。
今ならM&Aという方法もありますが、30年以上前のその当時は想定外のものでした。
また、株式上場という手段もありましたが、こちらも上場基準、証券取引所の審査が今よりまして厳しく、やすやすできる話ではありません。
そこで創業者が出した結論は社員への承継でした。
それを行うにあたり家族会議を繰り返し行いました。
創業者の思いを伝え、今後承継でどのような手順を踏んでいくかを家族に理解してもらうために。
ついで主だった幹部社員にもその思いを繰り返し説明しました。
その手順とは、
といったところでした。
創業者が亡くなって四半世紀になろうとしています。
会社はその描いた通りの姿で運営されています。
社内からの昇格社長も既に3人目です。
社内のモチベーションは高く、業績も順調に推移しています。
創業者もさぞかし満足して天国から見守っていることでしょう。
担当:田口 光春(タグチ ミツハル)