第8話「優しい経営者の後に残るものは」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第8話「優しい経営者の後に残るものは」

とある老舗の会社の株主総会に出席したとき、
ご高齢の株主が多数出席されている状況に驚きを感じました。
多数の高齢株主がいることについての話を聞くと、
先代社長(その時点で故人でした)が多くの社員に株式を持たせ、
退職後も継続して保有してもらっているとのことでした。

その時点では証券取引所に上場している会社ではありませんでした。
そのため、法律に則った議事だけでなく、
これからの事業の進め方についても株主に丁寧に説明する時間を設け、
総会後には昼食会を開いていました。

社長がこれからの経営に関していろいろな提案、説明をしたのですが、
株主からは「昔は・・・であった。昔に従って・・・」といった
過去を引きずった話ばかりで、前向きの発言は殆どありませんでした。

総会終了後、なぜ多くの社員OB株主を抱えているのか、
株式を買い取らないのかと社長に問いましたが、
株主の多くにとって年1回の株主総会は同窓会みたいなもので、
なかなか株を手放してくれず、仕方なくそのままにしているのだということでした。

社内でも先代の頃から働いている古参社員が多く、
株主総会同様に「昔は・・」といった発言が多く、
社長が試みようとする新しいことはことごとく否定されていたのです。
後継者もなめられたものでした。

そこで社長が選択した道は株式上場でした。
OB社員の株主の権利を保有株式数に見合うものにするために
もっとも手っ取り早い方法が株式上場と言えます。

着々と上場準備をして数年後には念願の株式上場を果たし、
OB社員株主からの経営に関する細かな注文は排除でき、
社長の行いたい事業を新たな株主の支持を受けながら推進できることとなったのです。
OBにはその代わりとして、株式の価値を高めることで報いました。

この会社は株式上場後数年で事業基盤の更なる安定と将来性を求めて、
他の会社と合併を行い、事業規模は数倍に膨れ上がっています。
あの時の株主さんたちが保有している株式の価値が現在いくらか気になるところですが、要らぬ詮索でしょう。

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

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