第55話「創業家をリスペクトする会社は強い?」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第55話「創業家をリスペクトする会社は強い?」

ここ数年、出光興産と昭和シェル石油の合併問題に注目しています。
それは出光興産の創業家が合併に反対し、その先行きが全く見えない状況にあったからです。
会社が創業家の影響下から離れること、創業者が提唱された経営理念がなくなることなどを危惧しての反対であったと思われます。
しかし2018年6月に 創業家も納得して、合併へ向かうとの報道がありました。

上場企業となると創業家が経営権を持ち続けることは難しくなります。
それも受け入れての上場であるはずです。
一方で、持ち株比率が1%程度ではあるものの、創業家が経営を担っているグローバル企業のトヨタ自動車のような事例も見られます。
また、同族経営のほうが非同族経営より業績が良いという研究結果もあります。

中小企業は同族経営を続けているケースが大多数です。
しかし、状況によってはそれができない場合もあります。
ではどうすればいいのか?
その参考になる、創業半世紀を越えた工業用化学材料を製造販売している会社の事例をご紹介しましょう。

創業者が亡くなったのは30年ほど前で、ようやく事業が軌道に乗り始めた頃でした。
創業者には息子がいましたが、まだ20歳代前半で一社員にすぎませんでした。
そこで創業家の意向も汲んで、番頭であった現社長が後継者になったのです。

2代目の現社長は、会社成長期の経営者に正にうってつけの人物でした。
国内では先発メーカーの存在が大きかったため、海外展開に注力していきました。
製造拠点を含め5箇所の海外事業所を持つに至り、国内より海外での知名度が高いと言われるまでに会社を成長させたのです。

この間に幾度かの増資を行い、それを経営陣と社員、そして取引先に持ってもらうことで、経営権では社長が安心して経営できる状態としました。
その結果、創業家の持分は経営に殆ど影響を与えない3分の1以下となったのです。

一方で、創業者の息子については、製造現場の責任者を経験させた後、取締役にするなど創業家を思っての処遇を行っています。

社長を補佐する陣容も磐石で、まもなく古希を迎えようとしている社長の後継問題も特に支障となることはありません。

そんな中で、社長に伺いました。
「次の社長は○○さん(創業家以外の役員)ですか」と。

返ってきた答えは次のようなことでした。
「いずれは創業家の△△(創業者の長男)に譲りたいと考えている。
○○を経由して△△か、直接△△に譲るか、今は結論が出ていない。
いずれにしても△△の成長次第だな」と。

脱同族経営を標榜していると思っていたので意外でした。
その一方、創業家を本心から敬い、創業家の会社であるという思いを持ち続けられていることに、いたく感動しました。
その考えは他の経営幹部に聞いても同じであることも実感しました。

法律的には脱同族であっても、創業者の理念を引き継ぎ、それを形にする術の一つとして社長を創業家から出す意味は大きなものがあると思います。
小さなトヨタであって欲しいと心から願っています。

(2018年7月24日更新)

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

「同族経営のほうが非同族経営より優秀という研究結果もあり」
「法的に非同族になったとしても、創業家の持つ意味は重い」
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