第66話「将来を語らない経営者は参謀からも見放される」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第66話「将来を語らない経営者は参謀からも見放される」

創業50年を超えた会社の話です。
創業社長は傘寿(80歳)を過ぎても元気に会社経営の第一線に立っておられました。
そこには、実子は女子ばかり3名で、その配偶者も含め、会社には無関係という背景もありました。
事業承継、次の社長を誰にするかも口にすることなく、傘寿を超えられていました。

そして、突然、社長が逝去する事態が起こってしまいました。
当然ながら次の社長を誰にするかで、創業家は蜂の巣をつついたような状態に陥りました。
社員の中には適任が見当たらず、もしいたとしても高額になっている自社株を取得させることは不可能でした。

家族会議を開いて相談したところ、次女の配偶者が手を挙げました。
ただ、当人は長くファッション関係のデザイナーとして活躍してきており、経営に携わった経験はありませんでした。
しかし、他に手を挙げるものがおらず、同人に経営を託すことになりました。

不安を抱えての船出。
不幸にもその不安は的中してしまいました。
その原因は、新社長の勘違いでした。
業績に不安のない中堅企業であったことに慢心もあったのか、表面的には自由に見えた創業社長と同等であるかのように勘違いした振る舞いが目についたのです。
公私混同と指摘されそうな言動もありました。

加えて、創業社長の逝去に伴い会社の将来を不安に思った幹部数人が会社を去っており、社員の間の動揺は隠せませんでした。
そのような中での社長の行状で、社長と社員の間には深い溝が生まれていきました。

この状態を目の当たりにした創業者の奥様は大変心配し、親しい経営者に相談したところ、大手企業の経営幹部を経験された方を紹介されました。
会って話をしたところ、信頼に足りる人物であると確信し、社長の補佐として力を貸りることにしました。
参謀として迎えられたその方は意気込んで会社に入られたのですが、しばらくしてオーナー家の希望と現実のギャップに気が付かれたのです。

まず、その人事を望んでいなかった社長は、会社の情報を必要以上に伝えようとはしませんでした。
さらに事業の将来性について、社長としての考えがなく、雑務をすることで社長業を行っている気になっている。
それが現実だったのです。

参謀は、社員とのコミュニケーションを密にすることから始め、組織の活性化、総務関連事務の効率化などに取り組みました。
しかし、あまりの溝の大きさに、本来の力を発揮するまでには至りませんでした。
物足りなさを感じられたのでしょう。
招かれてから1年ほどで退職の申し出となってしまいました。

社長の交代時に、新社長の弱点を補う人材を招く会社は多々見られます。
その中で上手くいっている会社の社長には、次のような共通点が見えます。

新社長が、将来に向けてのビジョンを掲げ、取り組んでいこうとする意欲を持っている。
それを補佐役と共有するとともに、社長自身に不足するものを上手く補ってもらおうとする姿勢で臨んでいる。

情報交換を密にし、相互に信頼して将来を共有することが、会社成長の原動力となるのです。
場当たりな経営をされている今回の会社に将来があるのか、不安を感じたのは私だけではないと思います。

(2019年7月23日更新)

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

「株主(オーナー)と社長の思いが必ず一致しているとは限らない」
「人を味方につける社長には、自らを知り、将来の会社の姿を描ける力がある」
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