第22話「経営権を手放しても経営の第一線に立ち続けることがある。」|事例に学ぶ 事業承継|【公的機関】事業承継なんでも相談所|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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事例に学ぶ 事業承継
事業承継相談員が見聞きした事業承継にまつわる「うそのような本当にあった出来事」をシリーズで紹介していきます。
ただし、みなさまに問題点をわかりやすく考えていただくため、少し脚色しています。その点はご容赦ください。
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第22話「経営権を手放しても経営の第一線に立ち続けることがある。」

父親から事業を引き継いだ中堅企業の社長の話です。
父親の代から特定の業界に特化した製品を製造し、その分野では他の追随を許さない地位を確立していました。
業績、事業・会社の将来性について社長には何も憂いることはなく、あるとしたら事業承継でした。

社長には子どもがなく、社長自身も一人っ子で、いわゆる甥、姪といった係累もいなかったのです。
それはご夫婦が亡くなった後、財産は国に没収されることになるといった状況でもありました。
となると、会社の経営権はどうなるのでしょう?筆頭株主は財務大臣?
その現実を前にして、早くから承継対策を考えていました。

まず、数社の金融機関に株式を保有してもらい、経営権のバックボーンとしていざというときに当面の経営を支えてもらえるようにしました。
次いで従業員持株会を設立し、一定割合の株式を保有させ、将来的には経営を従業員に譲渡する可能性も模索していました。 もちろん当面は社長の持ち株比率2/3超を維持してのことですが。
その一方で、金融機関などにM&Aの相手先探しを依頼していましたが、業績等が順調なこと、社長がまだ60歳代半ばであったことで、本気にはしてもらえなかったのです。

そうこうしているうちにM&A専門会社から話が持ち込まれました。
大手上場企業で業種的にシナジー効果が期待できそうなオファーでした。
相手が上場企業であるため、証券取引所や金融庁のインサイダー取引規制に抵触する可能性があることから、交渉は極秘裏に進められました。
もちろん他の株主にも打ち明けることなく。
交渉がまとまると証券取引所のルールに従って、M&A交渉成立が発表されたのです。
それを聞いた時には、社長の年齢からして早すぎる決断だという感想を持ったのが正直なところです。

社長以外の株主、特に金融機関に内緒にして話が進んだことはどうだったのでしょうか?
法律的に、また上場規制の要請からして致し方ないところでしたが、株主からは不満が相次ぎました。
それに対し買収企業の理解もあって、すべての株式は買い取られ100%子会社として再出発することとなったのです。

経営体制は従前のまま引き継がれました。
社内が安定するまで社長も当面の期間、留任することになりました。
ここまではM&Aを行うときの常識的な対応です。
私が見聞きしたところはここまでで、その後の経緯は直接知り得る関係ではなくなってしまいました。

それから10年近く経ちました。
久しぶりに会社のホームページを見たところ、当時の社長はそのままです。
きっと社長の手腕を評価して、そのまま経営させた方が、親企業にとって連結決算などに与える影響がプラスになると判断してのことでしょう。
社長の人柄、手腕等を思い出し、なるほどと思っているのは私だけではないと思います。
社員の方々も以前と変わらず生き生きと働いておられるシーンを想像しています。

担当:事業承継相談員 田口 光春(タグチ ミツハル)

経営者として早くから対策を打ったからこそ成功した
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