第53回 中小企業が展示会で成果を出すために準備すること|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2024.1.23公開

中小企業が展示会で成果を出すために準備すること

商品やサービスの販路を広げようと考えるとき、「展示会」は依然として有効な手段の一つです。今回のコラムでは、中小企業が展示会で成果を得るために、準備段階で持っておきたい視点をご紹介します。

中小企業の皆様にとって、まだ展示会に出展したことがない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。「展示会なんてお金が掛かるし、成果に結びつかない」や「時間が無い」などお答えになる経営者様もいらっしゃると思います。
展示会においてお金と手間は掛かってしまいますが、お客様になるかもしれない会社様(潜在顧客)が、向こうから集まってきていただけて、その場でお話ができる機会が、数日で何回も発生します。
これを通常の営業で同じような成果を得るためには、どのくらいの営業活動の時間と労力が必要でしょうか。
それを考えると展示会への出展は、効率が高いといえます。

ただし、やり方を間違ってしまうと「当社のブースだけお客様が止まってくれない」「取引先にならない名刺だけが多く集まった」など、効果が出ません。
今回は、BtoBでもBtoCでも共に考えておくべき、展示会で成功するポイントをご説明します。

①目的に合わせた展示会を選ぶ

「取引ある関係者からお願いされて展示会に出てみたけど、何も成果に結びつかなかった」などと経営者様からお伺いすることがありますが、自社の目的に合わない展示会であれば、成果を出すことは不可能です。

まずは、「展示会で得たい成果は何であるのか」をしっかりと決めておく必要があります。「そんなの新規顧客開拓に決まっている」と言われる企業様もいらっしゃいますが、
「誰でもいいから企業や個人に声をかけよう」と営業活動をされる企業様はいらっしゃるでしょうか。売り込みたい商品から、「この業種やこういった方」にと、対象となる顧客層(ターゲット)を決めているのではないでしょうか。

展示会も営業活動です。新規開拓の中で、「既存のお客様と同じ業界の方に売り込みたい」や「今販売している先と違った業界(例えば医療関係)などに売り込みたい」など、目的の業界が決まっているのであれば、その業界専門の展示会を選びましょう。
ただ「今の取引先と違った業界に売ってみたい」や、「どの業界が興味をもってくれるかを調査してみたい、出来れば取引先を開拓したい」との目的であれば、いろいろな業界の方が見に来るような展示会を選ぶ必要があります。
まずは「展示会で何を得たいか」を明確に決めて、それに合った展示会を探してみてください。

②来てもらいたいお客様に向け、何を理解してもらいたいかを決める

皆様が営業活動をするときに、相手にどのような説明をされるのでしょうか。当然、自社の商品やサービスの特徴をご説明なさると思います。その中で、「競合他社との違い」や「ご利用いただいたときのメリット」などをしっかりとお伝えされるのではないでしょうか。
展示会でも一緒です。ただ通常の営業との違いは、展示会では自社のブース前に止まってもらう必要があることです。

お客様(ターゲット)に合わせて、一番興味を持ってもらえる部分が何かを明確して、それが分かるようにブースのレイアウトを考えるのです。
皆様がお客様に売り込む際に、自社の商品やサービスすべてを見せて説明されますか。
すべてではなく、ターゲットが興味を持ってくれそうな商品やサービスを絞ってご説明をされることが一般的ではないでしょうか。
展示会ブースのレイアウトも同じ考え方が必要です。展示会に来られる方は、会場を回りながら興味のあるブースに立ち寄ります。歩きながら1つのブースを確認し、興味があるかないかを判断する時間ってどのくらいでしょうか。通常、3秒程度と言われています。
この3秒で興味を持ってもらい、立ち止まっていただくブースを作るには、ターゲットが興味を持ってくれそうなところを、3秒以内でわかるように作りこむ必要があります。なので、伝えたいことを絞り込んで、どのように見せるかが展示会のブースづくりで重要になります。

いろいろなものを並べると、何が伝えたいブースが分からなくなり、誰にとっても魅力の無いブースになってしまいがちです。展示会のブースはカタログの代用ではないことをご理解ください。
ブースのレイアウトの基本は、伝えたい内容をどのように伝えるのか、それを一番伝えられる商品やサービスを中心において、目立つようにすることが基本です。他の商品も周りに並べることもできますが、何が中心なのかをしっかりと維持してください。

③お客様の流れを作る

展示会のブースは、2つの視点を考えて作り上げないといけません。
「遠くから見て伝わるもの」「ブースに来て止まってもらうきっかけ」です。
遠くからとは、展示会の入り口からではなく、自社ブースの配置図上で、一番近くの人通りが多いメイン通路やサブ通路から周りを見回した際の視点です。そこからでも、自社のブースが何をしているのかを何となく理解して、見てみようと思わせる仕組みを考えておくことが必要です。

よく利用されるのは、壁面に貼っているボスターやタペストリーなどが一般的です。ブースの役割として、一番近くの大きな通路から見て、近くに寄ってきてもらう誘因の機能が必要です。なので、通路から見て、どの壁面にポスターやタペストリーを配置するかを考えてないといけません。
また、近くに来ていただいたお客様に、ブースの前で立ち止まっていただく仕掛けを作る必要があります。商品が食べ物であれば、試食などで立ち止まっていただくことが一番わかりやすい方法です。製造業などでは、商品の特徴がよく分かるように商品が動いているものを見せるなど仕掛けを作られていることが多いです。
この仕掛けも「伝えたいこと」が一番よく分かるようにしておく必要があります。

展示会の出展には、事前に様々なことを考えておくべきことがあります。それができていないと結果に結びつきません。
皆様の展示会が目的の成果に結びつくことを期待しております。

▼大阪産業創造館の展示会開催予定はこちら▼
https://www.sansokan.jp/syodankai/

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

志水 功行(しみず のりゆき)氏

志水 功行(しみず のりゆき)氏

 

2010 年中小企業診断士登録。中小企業の画筆メーカーで海外営業及び海外駐在を経験し、その後日本製品の専門商社に転職し、コンサルタントとして独立。海外取引の経験を活かし、海外進出支援・販売促進を専門分野として中小企業の支援を行っている。

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