第56回 クラウド会計ソフトの導入でこう変わった!2つの事例紹介|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2024.3.26公開

クラウド会計ソフトの導入でこう変わった!2つの事例紹介

クラウド会計ソフトの導入で日々の経理がどのように効率化できるのでしょうか。
今回はクラウド会計ソフトの導入により経理負担の削減につながった事例を2つご紹介いたします。

事例①<50社ほどある取引先の請求書作成と入金の消込業務が経理作業を圧迫>

A社は、日々の売上を管理する経理作業に多くの時間と労力がかかっていました。50社分ほどある請求書作成とは別に、請求書売上とレジ売上を会計ソフトに手入力し、銀行入金があれば、請求書を確認しながら売掛金の消込を手作業で行っていました。担当者はこの消込作業で遅くまで残業することもしばしばありました。手作業なので人的ミスのリスクも高く、日々の売上と売掛金の正確な管理が難しい状況でした。
「従来の記帳業務」手作業で入力・修正→紙で保存 「クラウド会計ソフトの導入後」内容を確認、事業の実態把握→電子帳簿保存法の改正で紙での保存が不要に
出典:内閣府税制調査会第7回 納税環境整備に関する専門家会合(2021年11月17日)資料一覧より

<A社の経理業務を圧迫する代表的な原因>
①入金額が請求書通りではない取引先(相殺や手数料を引いて入金してくる)
②請求書を複数まとめて入金してくる取引先
③クレジットカード売上などの手数料の消費税経理
④同じデータの2重転記作業(請求書データ、会計ソフトデータ)

この問題を解決するため、A社はクラウド会計ソフトの導入を決定し、クラウド会計ソフトの請求書機能の活用、レジとクラウド会計ソフトを同期することで売上高の経理処理を自動化することにしました。

<クラウド会計ソフトでこう変わった>
クラウド会計ソフトの導入にあたり、初期設定が必要でしたが、クラウド会計ソフトの請求書機能を使って請求書を作成すると、売上データが自動的にクラウド会計ソフトに転送されるようになりました。レジ売上についても、レジ締めを行うと売上データが自動的に転送されるようになり、売上データを会計ソフトに手入力する作業がなくなりました。また、残業によって処理していた消込作業はクラウド会計ソフトの推測機能により大幅に効率化されました。定期的に発生する取引も自動化のルール設定により、経理作業を自動化することができました。

<効率化された内容>
・売上データの自動経理
・消込作業の効率化
・請求書と会計ソフトの2重転記作業の解消
・毎月発生する取引の自動経理
・消費税区分経理の自動化

<従業員と経営者のメリット>
データ入力にかかる時間が大幅に削減され、経理担当者は資金繰りや管理会計といった他の重要な業務に集中できるようになりました。また、経理の自動化により人的ミスが減少し、会計データの正確性が向上をはじめ、経営者はいつでも正確な財務状況を把握できるようになり、より迅速かつ適切な経営判断が可能になりました。
売上データのリアルタイム経理により、繁忙期でも滞りなく経理作業を進めることができるようになりました。従業員の働き方にも良い影響を及ぼし、残業時間の削減にも繋がりました。

クラウド会計ソフトの導入は、業務を効率化するだけでなく、経営判断が可能となる会計数字の正確性を高め、経営の質を向上させるきっかけとなりました。

事例②
<紙ベースでの勤怠管理と手作業の給与計算が毎月の経理業務を圧迫>

B社は、従業員の勤怠管理と給与計算の業務に課題を抱えていました。勤怠管理はタイムカードを使って紙ベースで行い、給与計算はエクセルを使用していたため、毎月の給与計算期間中は担当者が忙しくなり、ミスも頻繁に発生、従業員からのクレームもありました。この問題を解決するため、B社はクラウド会計ソフトと連携可能なクラウド勤怠管理ソフトとクラウド給与計算ソフトを導入することにしました。

<クラウドの勤怠管理と給与計算でこう変わった>
従業員の勤務時間や休暇のデータをクラウド勤怠管理ソフトを使って管理することで、給与計算を自動化することができました。クラウド給与計算ソフトで計算した給与や社会保険料、源泉所得税などの給与データはクラウド会計ソフトへ転送されます。同じデータを2重転記する作業がなくなりました。
クラウド勤怠管理ソフトは従業員が自身のスマートフォンから出勤・退勤の打刻を行える機能があります。従来のタイムカードを使って紙ベースでの勤怠管理から比べると大幅な効率化となりました。

<効率化された内容>
・日々の勤怠管理のデジタル化
・給与計算が数時間で完了
・給与計算と会計ソフトの2重転記作業の解消
・労働時間の見える化
・多様な働き方への対応

<従業員と経営者のメリット>
以前は紙のタイムカードの勤務時間を集計する作業に数日を要していた給与計算業務が、チェックも含めて数時間で完了するようになりました。担当者は繁忙期でも他の重要な業務に集中できるようになりました。
クラウド勤怠管理ソフトとデータ連携するクラウド給与計算ソフトでの給与計算により、紙ベースでの管理や手入力による人的ミスがなくなり、給与計算の正確性が向上し、給与計算間違いによる従業員からのクレームも減少しました。
従業員自身がスマートフォンからいつでも勤怠状況を確認できるようになったことで、自分の働き方を見直すきっかけにもなり、管理職は部下の勤務状況をリアルタイムで把握できるようになりました。
クラウド勤怠管理ソフトは、従業員の働き方の多様化にも対応しています。クラウド勤怠管理ソフトとクラウド給与計算ソフトはテレワークやフレックス制にも対応しているものもあります。 

クラウド勤怠管理ソフトとクラウド給与計算ソフトの導入は、従業員の働きがいや企業文化にも良い影響をもたらすことを実感しました。

まとめ

A社では、日々の売上の経理に多大な時間と労力がかかっていましたが、クラウド会計ソフトを導入することで、売上の経理や消込作業が効率化され、人的ミスの減少とデータの正確性向上につながりました。
B社では、紙ベースの勤怠管理と手作業の給与計算が日々の業務を圧迫していましたが、クラウド勤怠管理ソフトとクラウド給与計算ソフトの導入で、勤怠管理のデジタル化と給与計算の効率化を実現しました。
今回の事例に興味を持たれた方は、クラウド会計の導入にぜひ取り組んでみてください。

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

蟹山 昇宏(カニヤマ ノリヒロ)氏

蟹山 昇宏(カニヤマ ノリヒロ)氏

 

蟹山昇宏税理士事務所
税理士

大学卒業後、会計事務所・税理士法人にて勤務後、2019年に独立。
クラウド会計システム導入による経理自動化をはじめ、ITを活用した業務効率化コンサルティングや、創業・法人化における税務サポートや資金調達の実行支援など、経営者の良き相談相手として幅広い支援を行っている。

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