税理士の選び方は、経営者の求めることによって千差万別といえます。
税理士を選ぶ際は、専門性や信頼性を把握することが大切です。ここでは、税理士をどのように選べばいいのか、依頼できる内容や選ぶ基準などについて解説をいたします。
そもそも税理士の仕事とは?
(1) 税務代理
納税者に代わり税務署に対して税金の申告や申請を行うこと
(2) 税務書類の作成
年次業務として、各種確定申告書・中間申告書の作成
(3) 税務相談
納税者から申告書等の作成に関し、税金の計算に関する相談を受ける
税理士といってもまとめて一括りにすることはできません。扱っている業務や得意分野がそれぞれに異なります。そこでどのような点を注意すればいいかをご説明いたします。
Ⅰ.税理士の得意分野
個人や法人の所得税・法人税・消費税の申告を行うことは一般的に多いです。その中でも細かく見ていくと<業務型>と<特化型>に区別することができます。
業務型とは、法人決算業務をはじめ節税対策の相談・銀行借入の資金調達・組織再編業務・国際納税業務・連結納税業務・創業支援業務などが挙げられます。
特化型とは、医療機関専門・不動産専門・飲食業専門・社会福祉法人専門・宗教法人専門・資産税専門・税務調査専門などが挙げられます。
税理士の業務の領域は広いため苦手な分野もありますので、それぞれの分野に精通した税理士に相談することをお勧めいたします。医師が専門分野を持つことと似ています。
Ⅱ.税理士事務所の規模
税理士事務所の規模は、以下の4種類に分けることができます。
(1) 百貨店型
大規模(100人超)な税理士事務所が当てはまり、規模が大きい事務所
(2) 大型スーパー型
税理士ではないスタッフを大量に採用して、仕事内容を定型化・標準化して価格を下げている税理士事務所が当てはまり、規模が大きい事務所
(3) 個人商店型
税理士1人、スタッフ数人の個人事務所で、仕事内容のほとんどが記帳と税務申告書の作成である税理士事務所が当てはまり、付加価値は低く、規模も小さい事務所
(4) セレクトショップ型
記帳や税務申告書の作成以外にも得意とするサービスなどがあって、他の事務所と差別化できている税理士事務所が当てはまり、付加価値が高く、規模は小さい事務所
特徴としては、規模の大きい事務所であれば、幅広い依頼に対して対応が可能です。中小規模の税理士事務所の場合は、所長税理士が対応し身近な相談役として相談をしやすかったり、融通が利きやすかったりします。
Ⅲ.税理士報酬
税理士に依頼する際は、必ず年間の報酬を確認しておいてください。税理士報酬は、年間売上・記帳代行の有無・年間の打合せ頻度などによって決まることが多いです。
経営者仲間から税理士報酬の話を聞くと、仕事の内容は変わらないけど、自分のところよりもかなり安いということがあります。顧問契約の際に、他の事務所との比較をしなかった場合に起きる問題です。また、契約してみると含まれると思っていたサービスが、オプション扱いであり追加料金が発生するという事もよくある話です。そのようなことがないように、契約をする前に、必ずサービス内容は確認してください。
Ⅳ.税理士事務所の場所
税理士事務所が近所であれば、顔を合わせてすぐに相談ができます。お互いの事務所の距離が近いと定期的な打ち合わせをしやすいですし、自社に役立つ地方銀行や信用金庫、助成金や補助金など地域性の高い情報をもらいやすいかもしれません。
ただし、近頃はスマートフォンやインターネットが広く普及しているため、直接会わなくてもコミュニケーションが可能です。税理士との打ち合わせをオンラインで行うことも当たり前になってきました。
書類の受け渡しや連絡事項も郵送やメールなどを利用したり、記帳をオンラインの経理・会計ツールを利用したりするなど、対面での打ち合わせが必要ない環境も整ってきているため、税理士事務所の所在地にこだわらなくてもいいかと考えられます。
Ⅴ.レスポンスが早く相談しやすいか
連絡手段として、昔ながらの電話やメールだけでなく、LINEやチャットワークなどのデジタルツールを利用するケースが増えてきています。デジタルツールを利用した方が、レスポンスが早くコミュニケーションを簡単にとることができます。
例えば、夜に送ったメールの回答がいつ返ってくるかどうかは、税理士の対応速度を判断する材料になります。レスポンスの速さは、税理士によってさまざまですが、税務上の相談事や疑問をすばやく対応してもらえると、スムーズな業務遂行が可能になります。
Ⅵ.相性が合うか
税理士と経営者は、人間同士の付き合いです。そのため、相性はなによりも大切なものだと考えます。もちろん税理士の専門知識なども大切です。しかし、相性が悪いと本来スムーズに進むべき仕事がぎこちなくなってしまいます。
最も重要なのは相性であると述べましたが、これは、税理士目線からも同じことがいえます。つまり、上から税理士を品定めするのではなく、経営者自身も税理士にとってのよきパートナーになろうと努めることが大切なのです。
問題なく長いお付合いができ、心配事の相談に親身になってくれる税理士であれば、あなたにとってその顧問料は妥当、最良の税理士ということになるでしょう。
その判断ができるのは、あなただけなのです。