第44回 ChatGPTで中小企業ができること|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2023.07.11公開

ChatGPTで中小企業ができること

”ChatGPT”というワードがニュースなどでも頻繁に聞かれるようになりました。業務が効率化できるとは理解していても、中小企業においての活用はまだこれからという会社が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、具体的に実践がイメージできるように概要や活用のポイントをお伝えします。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAI社が開発した大規模な自然言語処理モデルです。大量のテキストデータを用いて学習が行われ、テキストの自然な文章生成や、質問応答、文章の意味理解などのタスクを高い精度で実行できます。もちろん日本語でもスムーズなやり取りができます。

2022年11月にリリースされ、2か月後には世界中で1億人のユーザーを突破するなど、大変注目されています。さらに、ChatGPTはオープンソースで公開されており、人工知能による会話エージェントや、自動返信システムなど、様々なアプリケーションに活用されています。ChatGPTだけではなく、音声認識、画像や動画生成など、AI業界は日夜圧倒的なスピードで進化しています。

https://openai.com/blog/chatgpt

ChatGPT活用のメリット・デメリット

実際に企業での活用メリットとしては、業務の効率化、クオリティ向上、コスト削減などが大きいでしょう。

具体的に、顧客対応を例にみていきます。
顧客対応において自動応答(チャットボット)を実装することで、顧客の電話やメールでの問い合わせが減り、自身の業務に集中することができます。さらに、24時間対応・多言語対応、カスタマイズ可能な高速で正確な情報提供で、顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。業務の効率化ができれば、その分の人件費なども削減することができます。
また、フィードバックや問い合わせ内容などのデータを収集し、このデータを解析することで、顧客のニーズを把握し、サービスの改善につなげることができます。

一方で、考慮すべき事項も存在します。

ChatGPTは人工知能によって動いているため、誤った回答を返す可能性があります。(ハルシネーションと呼ばれるもっともらしいウソ(=事実とは異なる内容や、文脈と無関係な内容)の出力が生成されること※1)使えば使うほど機械学習していきますが、正確性を担保するためにも、人間によるチェックが必要です。また、複雑な問題や人間味のある対応が必要な場合には限界があるため、顧客とのコミュニケーションなどに用いる際は、その点について留意する必要があります。

ChatGPTは、オンラインで動作するAIシステムであるため、外部からの攻撃や不正アクセスのリスクがあります。また、保持するデータは、機密性が高い場合も多く、セキュリティ対策が不十分な場合、重大な情報漏洩が発生する可能性はゼロではありません。
業務での活用には、企業内の機密情報や顧客の個人情報の取得は避けて通れません。このため、ChatGPTを利用する際には、プライバシー保護に関する法規制や倫理規定、社内規定などに従い、適切に管理する必要があります。

実際に導入するためには、専門知識を持ったエンジニアが必要です。そのため、初期投資やランニングコストが高くなる可能性があります。

中小企業での活用シーン

ChatGPTについての理解が進んだところで、実際にどのようなシーンで活用できるか、一例をご紹介します。

・マーケティング
ユーザーの意見やフィードバックを収集し、マーケティング調査を実施できます。ChatGPTを介した対話形式のアンケートやフィードバックの収集により、より深い洞察を得ることができ、製品やサービスの改善やマーケティング戦略の最適化に役立てることができます。

・採用支援
求職者からの応募や採用に関する問い合わせに対応したり、企業の採用情報や職場環境についての情報提供もできたりと、企業は採用プロセスの効率化や採用コストの削減を実現することが可能です。

・新規事業の開発支援
ペルソナや課題の生成を100個挙げるのもあっという間です。適切な指示出し(プロンプト)が重要になりますが、アイデア出しなど、数が質を担保するような場面では非常に心強いパートナーです。

・社員の作業効率化
誰しもが日々行っているような作業でも活用可能です。プレゼン資料を作成したり、会議の議事録を要約したり、企画や調査の情報収集、メールの返信内容を考える際にも、活用できます。さらには、営業の練習相手にもなってくれます。

・カスタマーサポート
メリットの説明でも書きましたが、顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に回答することができ、企業は24時間体制で顧客対応を行い、高品質のカスタマーサービスを提供することができます。問い合わせに対応するだけでなく、商品の購入に関する情報提供や購入プロセスのサポートもできるため、企業は売上増加と顧客満足度の向上の実現をめざせます。


(ChatGPTのやり取りの一例。営業シナリオを考えてもらった。https://chat.openai.com/

活用のポイント

具体的に活用シーンがイメージできたところで、実践していくためのポイントを整理していきましょう。

・目的の明確化
ChatGPTの導入目的を明確にし、どのような目標を達成したいかを定めることが重要です。具体的なKPIを設定し、ChatGPTの活用効果を定量的に評価することが大事です。

・コストの見積もり/ベンダーの選定
ChatGPTの導入には、設備やソフトウェアの購入費用、導入に関するコンサルティング費用、運用費用などがかかることがあります。これらの費用を見積もり、費用対効果を慎重に検討することが重要です。変化が激しい分野において、投資対効果を確実に出すためにも、信頼のおける評価の高いベンダーを選定するのが不可欠です。

・運用体制の整備
ChatGPTを運用するためには、社内の体制や役割分担を整備する必要があります。具体的には、問い合わせに対応するオペレーターの配置、FAQの作成や更新、ChatGPTの運用状況のモニタリングなどが含まれます。

・データの収集と分析
ChatGPTを活用することで、顧客とのコミュニケーションや商品の販売状況などのデータが蓄積されます。これらのデータを収集し、分析することで、企業の課題や顧客ニーズの把握など、経営戦略に役立つ情報を得ることができます。

・周囲の理解
ChatGPTのみならず、AIに対して不安や不信感を持つ人も少なくありません。実際に業務で活用するのは現場の人であるからこそ、確実に活用していけるよう、社内での共通理解を得るために従業員への説明やトレーニングなどは丁寧に行う必要があります。

・まずは実践してみる
社内全体がChatGPTを活用することの意義を理解し、業務で前向きに活用していくためにも、まずは個人の社内業務の中での活用など、ハードルの低いところから活用してもよいかもしれません。報告書や議事録、メール作成や市場調査などの情報収集などが手軽で効果を実感しやすいでしょう。
また、カスタマーサポートなどでのChatGPT導入は、事例が豊富で、成果も見えやすいため、導入が比較的容易と考えられます。


(実際に、筆者のビジネスのサービス名とドメイン名を出力した際のChatGPTのアウトプット一部)

まとめ

ChatGPTを中小企業でどう活用していくか、具体的にイメージできたのではないでしょうか。ChatGPTだけでなく、AIを活用したサービスや製品は市場に多く出回り、とてつもないスピードで日々進化しています。世の中のトレンドをキャッチし、自社に活用していくためにも、日常から積極的にAIを取り入れていきましょう。(本記事の作成にも、ChatGPTを取り入れています。)

※1 出典:ITmedia
 (https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2303/30/news027.html)

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

芝先 恵介(シバサキ ケイスケ)氏

芝先 恵介(シバサキ ケイスケ)氏

 

株式会社01START 代表取締役
大阪DX推進プロジェクト サポーター
大阪産業創造館 経営サポーター

外資系会計ソフト会社の仲間と2002年よりIT系ベンチャーを起業し合併や売却などを経験。
2014年からはフリーランスとして0→1コンサルを行う。 2016年に株式会社トラベルテックラボを起業し、訪日外国人向けサービスで"インバウンド×地方創生"をめざす。
2019年にフィンテックスタートアップにジョイン。
現在は、複数の会社経営の傍ら大学での講義や、NPO監事を行う。経営学修士(MBA)

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