第55回 クラウド会計ソフトの導入と活用のコツ10選|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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2024.3.12公開

クラウド会計ソフトの導入と活用のコツ10選

インターネット環境があれば場所や端末に関わらず使用でき、経理が効率化するなどの理由から、自社の経理にクラウド会計ソフトを選択する方が増えています。この記事では、クラウド会計ソフトを導入するメリット、自社に合った適切なクラウド会計ソフトの選び方、導入時の注意点、活用のコツについてご説明いたします。

クラウド会計ソフトを選ぶ人が増えています

クラウド会計ソフトはその利便性の高さが広く認知されはじめ、利用する企業・個人事業主が年々増えています。
人手不足を背景として、行政手続きのデジタル化および中小企業の経理のデジタル化はますます進む見通しであり、自社の経理にクラウド会計ソフトを選択する企業のますますの増加が予想されます。
【会計ソフトの利用形態】

出典:クラウド会計ソフトの利用状況調査(2023年3月末) MM総研

【会計ソフトに占めるクラウド会計ソフトの利用率の推移】

出典:クラウド会計ソフトの利用状況調査(2023年3月末) MM総研

クラウド会計導入のメリット

クラウド会計には、インターネット環境があれば場所や端末に関わらず使用できる以外にも様々なメリットがあります。
クラウド会計ソフトの主なメリットと具体例を、解説いたします。

①複数人による同時アクセスが可能
メリット:経理担当者や税理士など、異なる場所にいる複数の人が同じデータに同時にアクセスし、作業を行うことができます。
具体例:例えば、経理部門と営業部門、税理士が同時に財務データを閲覧・更新することが可能になります。これにより、情報の共有や経費申請作業、税理士による税務業務がスムーズになり、経理業務の効率化が可能です。

②データがクラウドサーバー上で保存できる
メリット:データが外部のクラウドサーバーに保存されるため、自社のPCやサーバーの故障によるデータ損失のリスクが減少します。法改正によるソフトのアップデートも自動で行われます。
具体例:万が一、オフィスに災害が発生しても、クラウド上にデータが保存されているためビジネスの継続性が保たれます。
電子帳簿保存法にも適した経理環境の構築が可能です。

③自動仕訳機能(経理作業の効率化)
メリット:取引記録に基づいて自動で仕訳を行うため、経理作業の時間を大幅に削減でき、手動による入力ミスを減らすことが可能です。
具体例:毎日の売上データや経費の領収書データを登録するだけで、適切な勘定科目への仕訳が自動で行われます。自動仕訳のルール設定は自社の経理業務に合わせて細かく設定が可能です。

④レジシステムや経営分析ソフトなど他サービスとの連携が可能
メリット:異なるビジネスツールとの連携により、データの一元管理が可能になり、より正確で迅速な分析が行えるようになります。
具体例:売上データをレジシステムから自動で会計ソフトに取り込むことができ、日々の売上高をリアルタイムで把握することができるようになります。
経営分析ソフトと連携してリアルタイムの財務状況を把握することも可能です。

⑤請求書作成の機能や債権債務の管理機能、確定申告書作成の機能がある
メリット:請求書を作成すれば、会計ソフトに売上と売掛金のデータが自動で経理処理されます。
具体例:請求書と会計ソフトに同じ日付や金額を入力するといった二度手間の経理作業が削減されるとともに、債権債務の管理機能にもデータ登録されるため、毎月の消込作業が効率化できます。
個人事業主の方であれば、かんたんな質問に答えるだけで確定申告書を作成する機能もありますので、クラウド会計ソフトで確定申告書や青色申告決算書を作成し、そのまま電子申告することも可能です。

適切なクラウド会計ソフトの選び方

クラウド会計ソフトを選ぶ際は、「どの機能が必要か」と「だれにとって使いやすいか」をしっかり考えましょう。基本的な会計ソフトの機能はもちろん、請求書機能、経費申請、財務レポート作成など、自社の経理業務のながれに合った機能が備わっているかが重要です。
また、操作のしやすさも大切なポイントです。できれば無料トライアルを利用し、実際に使ってみて使い勝手を確認しましょう。経理処理を自社で行うのであれば経理担当者が使いやすい画面(簿記を意識しない画面)のクラウド会計ソフトが良いでしょうし、税理士事務所などに会計ソフトへの記帳作業を依頼しているのであれば、税理士事務所のスタッフが使いやすい画面(簿記を意識した画面)のクラウド会計ソフトが良いでしょう。

導入時(会計ソフトの変更)の注意点

クラウド会計ソフトを導入する際の注意点は、導入前後のスタッフの操作研修やサポートの提供環境をうまく構築することです。会計ソフトの変更は経理担当者の心理的な負担が大きくなります。会計ソフトの変更は経理担当者が以前の会計ソフトと同様に操作できるようになるまである程度の期間(通常6か月~2年)が必要だと認識して経営者が意思決定すべきプロジェクトです。スムーズにプロジェクトが進みますので、顧問税理士や会計ソフト会社の担当者と連携を取りながら導入することをおススメしています。

クラウド会計ソフト活用のコツ10選

クラウド会計ソフトを活用する際のコツをご紹介します。コツを押さえてクラウド会計を使用することで、経理作業の効率化や正確性の向上に役立つでしょう。

①定期的なデータ同期
クラウド会計ソフトと銀行口座やクレジットカード、レジシステムなどを連携させ、定期的にデータを同期することで、常に最新の財務情報を保持しましょう。

②アクセス権限の管理
経理担当者ごとに適切なアクセス権限を設定し、セキュリティを保ちつつ効率的な経理作業の分担を実現しましょう。

③自動仕訳ルールのカスタマイズ
繰り返し発生する取引に対して自動仕訳ルールを設定し経理作業の時間を削減しましょう。

④クラウドのセキュリティ対策を確認
データ保護のため、クラウド会計ソフトのセキュリティ機能やバックアップ体制を確認しましょう。

⑤モバイルアプリの活用
外出先からでも財務状況を確認したり、経費の登録を行うために、クラウド会計ソフトのモバイルアプリを活用しましょう。

⑥レポート機能を利用する
様々な財務レポートを定期的に確認し、自社の経営数字をチェックしましょう。

⑦定期的なデータのチェックとルールの調整
定期的に会計データをチェックし、自社の取引が適切に仕訳に反映されているかチェックしましょう。

⑧継続的なアップデートへの対応とサポートの活用
クラウド会計ソフトの最新機能や法改正への経理処理の変更などが発生します。サポートサービスを活用して対応しましょう。

⑨他のビジネスツールとの統合
クラウド会計ソフトを他のビジネスツールと統合し、作業の効率化や経営数字の見える化を進めましょう。

⑩利用者の意見を活用
実際にシステムを使用する経理担当者や税理士の意見を収集し、使い勝手の向上や必要な機能の追加を検討しましょう。

これらのコツを実践することで、クラウド会計ソフトを使ってよりスムーズに経理業務を行うことができるようになります。

まとめ

クラウド会計ソフトの導入は、中小企業にとって大きなメリットをもたらします。リアルタイムでの情報アクセス、経理作業の効率化(自動化)、税法改正への柔軟な対応、経営分析ツールの利用など、経営効率の向上に直結する機能が豊富に備わっています。
適切なソフト選びと、導入・活用のポイントを押さえることで、クラウド会計ソフトは中小企業の強力なサポーターとなるでしょう。

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

蟹山 昇宏(カニヤマ ノリヒロ)氏

蟹山 昇宏(カニヤマ ノリヒロ)氏

 

蟹山昇宏税理士事務所
税理士

大学卒業後、会計事務所・税理士法人にて勤務後、2019年に独立。
クラウド会計システム導入による経理自動化をはじめ、ITを活用した業務効率化コンサルティングや、創業・法人化における税務サポートや資金調達の実行支援など、経営者の良き相談相手として幅広い支援を行っている。

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