第46回 外部人材の活用が経営課題の解決策となる?副業・兼業を取り巻く現状とは|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2023.9.12公開

外部人材の活用が経営課題の解決策となる?副業・兼業を取り巻く現状とは

コロナ禍によって、働く人のキャリア観に大きな変化が起こり、多様な働き方や柔軟な働き方へのニーズが高まったことで、「副業」や「兼業」といった外部人材への関心が高まっています。
今回は副業・兼業が注目される背景を紐解き、中小企業が知っておくべき外部人材活用の考え方について解説します。

「デジタル化を進めたい」
「新規事業を始めたいが相談に乗って欲しい」
「特別な技術や知識やネットワークを教えて欲しい」

人材不足が招くこのようなお悩みをもつ経営者に、『副業・兼業』 人材の活用という、画期的な解決策をご紹介します。

① 副業・兼業とは?

副業とは特定の勤務先と雇用関係を持ちながら、別の勤務先で業務委託として収入を得る働き方をする人のことです。特に今回お薦めする人材は“都市圏の大企業で働く会社員で管理職に就く高度人材”(※1)です。お薦めする理由は③にて後述いたします。

兼業とは フリーランスや個人事業主のような独立したプロ人材です。フリーランスは組織に属さず仕事ごとに契約を結ぶワークスタイルです。個人事業主はフリーランスで働く人のうち、税務署に開業届を出している人です。

② 副業・兼業が生まれた背景

【1】 世界でおこっていること
予測不能な時代(VUCA)と言われています。エネルギーや石油の枯渇が危ぶまれる資源問題、地球温暖化など気候変動の環境問題、国際紛争、資本主義と社会主義の衝突、人口爆発による食料問題、サプライチェーンの脆弱化、通貨の不安定、仮想通貨の影響、デジタル革命やサイバーセキュリティー課題や最近のコロナ禍の蔓延など課題は山積みです。

【2】 日本国内でおこっていること
バブル崩壊後の『失われた30年』と言われる経済の低迷、少子高齢化による人口および生産年齢人口の減少や健康寿命の延び、地方創生問題が浮上。政府は女性活躍や若者就業支援、シニア人材の活用や外国人雇用で労働力の量の確保やリカレント教育による質を担保する施策を出しています。
また海外市場への販路拡大やスタートアップの促進も行い需要と供給を支えようとしています。他にデジタル化の推進やSDGs、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルもめざしています。そこに2020年、世界中を襲ったコロナ禍の蔓延が日本にも上陸しました。

【3】 企業側(求人側)の変化
現在は上記のように非常に不安定な環境下で歴史に残る大きな変化の途中といわれています。特に2020年から猛威を振るったコロナ禍により緊急事態宣言が発令され不要不急の外出の自粛が要請されました。出社もままならず取引先にも訪問できないため、企業は自ずとデジタル化を推進することになり、ビジネスモデルを大きく変革せざるを得ない状況になりました。
そのため確保したい人材要件も大きく変化し、人的資本経営 (人材を「資本」として捉えその価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方) も提唱され、今までと異なる人材の必要性が認識されるようになりました。

【4】 大企業で働く人をはじめ 働く人(求職者側)の変化
在宅勤務の状況下で働く人の意識や価値観は大きく変化しました。特に郊外に住み、都市部の大企業に勤務する人は一日往復2時間から4時間の通勤時間の消滅により、自分の時間が増加しました。考える時間が増え、暮らしと仕事を見直すことになったのです。

健康寿命の飛躍的な伸びにより“人生100年時代”になり、定年も60歳から65歳、70歳も提唱され、健康であれば死ぬまで働くことも良しとする風潮になっています。学校を卒業してからの職業寿命は40年から60年に延びた半面、インターネットの普及や社会環境から企業寿命は総じて短くなり、逆転しました。
従って今までのような“終身雇用”や“年功序列”といった働き方は考えられなくなりました。将来への不安が大きく膨らんだ若い労働者を中心に「自分のキャリアは自分で決める」「一社に捕らわれず転職するのが当たり前」という考え方に変わってきました。
そうなると「若いうちから成長できる仕事」「共感できる理念・事業で将来が見え、早く成長できる会社選び」と、仕事選びの眼も厳しくなってきているのです。

また2018年に中小企業庁が「地域中小企業人材確保支援等事業」において“労働者は、勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる(14章68条新設)”を追加したことにより、実質の副業解禁になりました。コロナ禍で時間や場所を問わない働き方やリアルとオンライン融合したハイブリッドな業務が日常化したことで、「いきなり転職するのはリスクが高い。自分の力が社外でどれだけ通用するのか腕試しをしたい。」という理由で一気に副業が広まりました。副業希望者の数は生産労働人口の約8000万人のうちの15%程度の約1000万人といわれるくらい増えています。

③ 企業側(求人側)の採用のおかれている現状と解決策

ビジネスモデルが変化し、より専門的なスキルや経験を持つ人材が必要になりました。その反面これから継続する働く人口の減少と、働く人の価値観の変化による人材難は永遠に続きます。求人を出せば、それなりに応募があり採用できる“待ちの採用”の時代は終わります。これからは働く人から選ばれる立場なのです。“攻めの採用”で自社の魅力を伝えていかねばなりません。

方法はいくつかあると思われますが、手段のひとつとして仕事を細かく切り分けJOB化して、都市部の大企業を始めとするプロフェッショナルな人材にオンラインで仕事を依頼する副業が有効だと考えられます。業務委託契約になるので社会保険も不要ですし、1カ月単位の契約でいつでも契約終了できます。コストも月に30時間程度働いてもらって数万円から10万円以下が相場です。副業人材紹介会社も非営利支援団体一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会によると100社程度の登録がありますが、実際にはその倍以上が存在するともいわれています。

※筆者作成

大阪府が設置しているOSAKAしごとフィールド 中小企業人材支援センター 中核人材雇用戦略デスクは、経営状況のヒアリングから、適した副業人材紹介会社を紹介するサービスを提供しており、相談も無料なので、そういった窓口を活用することもおすすめです。
https://www.projinzai.osaka.jp/

現在の人材採用の難しい時代を、ニューノーマルになった副業で解決する策はあります。まずは情報収集からはじめてみましょう。

(※1)1日8時間×5日=週40時間の働き方をし、専門的な技術・技能・知識・経験のある人材

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

加地裕子(カヂユウコ)氏

加地裕子(カヂユウコ)氏

 

OSAKAしごとフィールド 中小企業人材支援センター 中核人材雇用戦略デスク 『大阪府プロ人材』 統括マネージャー

1986年 大学卒業後 (株)リクルート入社。関西を中心に大企業から中小企業の経営者向けに後継者、中堅、若手、新卒、アルバイト、契約社員、業務委託まで求人媒体で採用支援。適性検査や組織活性事業にも従事。2019年10月 独立し、有料職業紹介業・人材採用支援サービスを行う 百年プラス株式会社設立。代表取締役。経営課題を伺い採用による解決策の提案を主業務にしている。副業マッチングは2022年から本格的に取組み30人のマッチング。 1万社以上の企業と接触し3000人以上の経営者との面談から、覚悟を持って邁進している社長の大ファンです。

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