第38回 社会保険業務の基礎知識③|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2023.1.17公開

社会保険業務の基礎知識③

前回までで、社会保険制度の概要と適用事業所の要件(社会保険業務の基礎知識①)、被保険者の要件(社会保険業務の基礎知識②)についてお伝えいたしました。
今回は、各制度における⼊退社関係の基本的な⼿続きについて、ざっくりとみていきます。

近年は、電子申請が可能な手続きが増えており、筆者の事務所でも手続きの代行をする際は、ほぼ電子申請でしております。手続きによっては、電子証明書の準備等が必要となりますが、24時間いつでも、どこからでも申請ができます。詳しくは下記リンク先をご参照ください。 e-Gov電子申請
https://shinsei.e-gov.go.jp/

従業員を雇用したとき(初回)の手続き

適用事業所において、初めて被保険者となる者を雇い入れた場合には、事業所に関する手続きと被保険者に関する手続きが必要となります。

労働保険(労災保険・雇用保険)

  • ◆ 一元適用事業と二元適用事業

    労働保険(労災保険・雇用保険)は事業の種類により、一元適用事業と二元適用事業に区別され、届出先が異なります。

  • ◆ 必要な手続き

    労災保険について、雇い入れ時の手続きは特に必要なく、労働者として雇い入れられた日から適用労働者となります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

  • ◆ 必要な手続き

    社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料については、被保険者資格を取得した月から喪失した月の前月までの分を、月単位で納付することとなります。そのため、被保険者資格の取得日が月の途中であっても、その月分から保険料を納付することとなります。

    被保険者資格の取得日や賃金の締め日・支払日によっては、賃金から控除している保険料が何月分なのかわからなくなっている事業所が時折見受けられます。そのような事業所では、退職等における被保険者資格の喪失時に混乱されていることが多いのでご注意ください。

    同時に複数(2か所以上)の適用事業所に使用(勤務)されることとなった場合には届け出が必要となります。詳しくは下記リンク先をご参照ください。 ♢【日本年金機構】複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き
    https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20131022.html

従業員を雇用したとき(初回以外)の手続き

適用事業所において、既に被保険者となる者を雇い入れており、事業所に関する手続きが済んでいる場合、当該事業所で新たに被保険者となる者を雇い入れた際は、以下の被保険者に関する手続きが必要となります。

労働保険(労災保険・雇用保険)

  • ◆ 必要な手続き

    労災保険について、雇い入れ時の手続きは特に必要なく、労働者として雇い入れられた日から適用労働者となります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

  • ◆ 必要な手続き

従業員が退職したときの手続き


労働保険(労災保険・雇用保険)

  • ◆ 必要な手続き

    労災保険について、退職時の手続きは特に必要ありません。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

  • ◆ 必要な手続き

    従業員が退職した際の社会保険の被保険者資格の喪失日は退職日の翌日となります。退職日が月の末日となる場合、喪失日は翌月1日となるため、賃金からの保険料の控除にはご注意ください。 ♢ 退職日と資格喪失日の例

健康保険(任意継続)

  • ◆ 退職や労働時間の短縮等によって健康保険の被保険者資格を喪失したときに、一定条件の下、個人の希望により、健康保険任意継続被保険者となることが可能です。

(2023年1月17日掲載)

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

賀来 進哉(かく しんや)氏

賀来 進哉(かく しんや)氏

 

株式会社シナジス 代表取締役社長
社会保険労務士

十数年間、創業や新規部門の立ち上げ、スタッフの管理育成などを経験後、社会保険労務士として独立。
現在は経営者1人から従業員数百人規模の手続き業務や就業規則等の策定、求人サポート、評価制度・研修制度の構築をはじめ、勤怠クラウドの導入支援など「適正な労務管理」のため幅広い支援を行っている。
また、資金繰り支援やキャッシュフロー計画の予実管理サポートなど、経営者の「お金に関する困り事」の改善をめざし、日々精力的に活動している。

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