前回までで、社会保険制度の概要と適用事業所の要件(社会保険業務の基礎知識①)、被保険者の要件(社会保険業務の基礎知識②)、事業所関係と⼊退社関係の基本的な⼿続き(社会保険業務の基礎知識③)についてお伝えいたしました。
今回は、各制度における保険料の納付関係の手続きについて、ざっくりとみていきます。
保険料の納付について
労働保険(労災保険・雇用保険)
労働保険(労災保険・雇用保険)/年度更新
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◆ 労働保険では、毎年1回、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の保険料を納付するための概算保険料の申告・納付の手続きが必要となります。この手続きを「年度更新」といい、毎年6月1日から7月10日までの間に「申告書」と「納付書」を作成し、申告・納付することとなります。
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◆ 必要な手続き(年度更新)
納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業については20万円)以上の場合には、申請により延納することが可能です。
♢労働保険事務組合に事務委託している場合には、金額に関わらず、延納することが可能となります。
年度更新時の予想よりも賃金総額(全員の賃金額の合計)が100分の200(2倍)を超え、かつ、増加後と増加前の概算保険料額との差額が13万円以上になる場合、年度の途中で増加した分を申告・納付しなければならない旨が、労働保険徴収法で規定されております。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)
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◆ 社会保険における保険料は、被保険者の報酬から、標準報酬月額が保険者によって決定され、これに基づいて保険料が各人ごとに決定されます。以下、共通する内容をまとめましたのでご参考ください。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)/被保険者資格取得時の決定
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◆ 採用時に締結された雇用契約の報酬に基づいて、標準報酬月額が決定されます。
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◆ 資格取得時に決定された標準報酬月額は、原則としてその年の8月31日までの標準報酬月額となります。ただし、6月1日から12月31日までに被保険者資格を取得した方については、翌年の8月31日までの標準報酬月額となります。
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◆ 必要な手続きについては、前回(社会保険業務の基礎知識③)をご参照ください。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)/定時決定(算定基礎届)による決定
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◆ 社会保険では、毎年1回、標準報酬月額を決定し直すことになっており、これを「定時決定」といいます。
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◆ 定時決定の対象は、原則として、7月1日現在のすべての被保険者及び70歳以上被用者となりますが、次のいずれかに該当する人は除かれます。
- 6月1日以降に資格取得した方
- 6月30日以前に退職した方
- 7月改定の月額変更届を提出する方
- 8月又は9月に随時改定が予定されている旨の申し出を行った方
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◆ 決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。
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◆ 必要な手続き(定時決定)
社会保険(健康保険・厚生年金保険)/随時改定(月額変更届)による決定
社会保険(健康保険・厚生年金保険)/被保険者賞与支払届
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◆ 社会保険では、年3回までの賞与等の支給については、賞与支払届による届け出が必要となります(年4回以上は標準報酬月額の対象)。
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◆ 賞与支払届に記載された賞与額(1,000円未満切捨て)を標準賞与額といい、保険料の計算対象となります。
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◆ 必要な手続き(賞与支払届)
今回、計4回に渡り、社会保険の基礎知識について、ざっくりとみてきました。都合上、説明不足となった箇所や十分みることができなかった箇所もございますが、皆様の経営の一助になれば幸いです。
(2023年1月31日掲載)
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