第41回 大阪・関西万博開催に向けて中小企業が『今』できること|経営事典|マネジメントNavi|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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経営事典

2023.4.25公開

大阪・関西万博開催に向けて中小企業が『今』できること

いよいよ2年後に迫った大阪・関西万博。
準備が進んでいるというニュースは目にするものの、大阪の中小企業として万博の盛り上がりをどう活用していけば良いのか、イメージできていない方も多いでしょう。
今回は、万博をビジネスチャンスにするために「今」できること、を解説します。

大阪・関西万博の概要

すでに読者のみなさんもご存じのとおり、「2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博 )」が、2025年4月13日(日) から 10月13日(月)の184日間にわたり、夢洲(大阪市此花区)にて行われます。

ユニークな公式キャラクター「ミャクミャク」を至るところで目にするようになり、2023年の春を迎えた今、早いもので開催時期が2年後に迫ってきました。

大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、いのちを考える軸として下記の3つのサブテーマを掲げ、SDGsが達成された世界を描くことをめざしています。

1.Saving Lives(いのちを救う)
2.Empowering Lives(いのちに力を与える)
3.Connecting Lives(いのちをつなぐ)

また、コンセプトは「Peopleʼs Living Lab(未来社会の実験場)」とし、万博のスタイルをより実践的な行動の場へと進化させることを狙うため、社会実装していくための場と定めています。

さらに、万博の開催に「必要な事業や方針」を示した基本計画によって、どのような催事などが行われるか見えてきます。

1.海と空を感じる会場
2.世界中のいのち輝く未来が集う万博
3.未来の技術と社会システムが見える万博
4.本格的なエンターテイメントを楽しめる万博
5.快適・安全安心・持続可能性に取り組む万博

詳細はこちらをご覧ください(https://www.expo2025.or.jp/overview/masterplan/)。

大阪・関西万博が中小企業のビジネスに与える影響

万博記念公園内に設置された太陽の塔が印象的な1970年の大阪万博では、77カ国の参加のもと6400万人を超える入場者が訪れました。
読者の中には当時のことを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の大阪・関西万博は、150の国・地域と25の国際機関の参加をめざしており、会期中は世界中の人々が大阪を訪れることが期待できるため、この万博をビジネスにつなげることができないかをお考えの中小企業経営者も多くいらっしゃると思います。

大阪・関西万博が中小企業や小規模企業者に与える直接的な影響としては、万博の事業や協賛等に参加することによって、参加国や来場者等に対して直にアピールできるため、ビジネスチャンスにつなげることが可能になる点です。

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、「中小企業・小規模企業者の皆さまも、協賛や出展、調達など様々なかたちで参加することが可能です。本万博に参加いただくことで、御社の製品、技術やサービス等を世界中の人々にPRできる他、取引先や関係先との関係強化、新たな共創など多様な可能性につなげていけると考えています。」と記載しています。

図表1:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への参加形態

出典:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会資料より抜粋(2023年3月時点)
公式HPでは、中小企業・小規模企業者に向けた万博参加に関する情報をまとめていますので、詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20221129-01/

また、大阪ヘルスケアパビリオン内には、優れた大阪の中小企業・スタートアップの技術力や魅力を発信できるよう「展示・出展ゾーン」が設置されます。大阪の中小企業・スタートアップは、各支援機関の企画した支援事業企画「リボーンチャレンジ」(全26件)に参加し、万博の会期中だけでなく、準備期間や開催後も視野に入れた伴走支援を受けながら、万博への出展をめざします。
詳細はこちらをご覧ください(https://osaka2025.site/)。

すでに募集を開始している事業もあり、大阪産業創造館を運営している公益財団法人大阪産業局においてもヘルスケアやものづくり等をテーマとした4件のリボーンチャレンジに取り組んでいます。

一方、万博に直接参加しなくても、ビジネスに間接的な影響をもたらす可能性もあります。

万博を目当てに大阪に来訪する人々に向けて、自分たちの事業や店舗の存在を知ってもらい、ビジネスチャンスにつなげていくことができます。
そのためにも、提供する商品・サービスの魅力について、より的確に表現し、適切な方法で発信していく必要があります。
さらには新たな顧客を獲得するために、新商品開発等にチャレンジするきっかけにもなります。

大阪・関西万博を契機に「ビジネスチャンスを掴みたい!」と頑張る大阪市内中小企業に対して、大規模展示会活用プログラムや各種イベント・講座を通してサポートする【O-TEX2025―大阪ビジネスチャンス獲得プロジェクト―】もそのひとつです。

中小企業が「今」、大阪・関西万博に向けてできること

直接・間接といずれに携わるかどうかに関わらず、大阪・関西万博は、世界的に一定期間大阪が注目されるまたとない機会です。ビジネスチャンスに活かすためにも、「今」からでもこの3点を抑えておきましょう。

1.準備に着手するなら早めに
開催まで2年という期間はありますが、新たな顧客に対して現在の商品・サービスを提供するだけで十分でしょうか。
まずは、誰を対象にして提供する商品やサービスの価値を発信するのかを今一度見つめ直しましょう。
想定している顧客の趣味趣向によっては、商品・サービスのリニューアルが必要になる可能性がありますし、見直しをするならその仮説が正しいかをリサーチすることも必要です。
さらに、外国人への対応を考えるなら、通訳や翻訳も必要となります。
2025年4月にスタートダッシュすることを考えると、今から準備に着手しても早すぎることはありません。

2.時機を逃さない
今回ご案内したホームページの情報は適宜更新されるので、お知らせやプレスリリース、契約情報など、関連情報を逐次キャッチアップしておく必要があります。
特に、直接的な事業参加を考えている場合は、設定されている募集期間内の申請が必要となります。
自分たちは万博にどのように関与していくのかを明確にしておくことによって、必要な情報に対するアンテナを立てやすくなります。

3.リスクに対する備えをしておく
万博が始まる2年後、想定どおりにビジネスチャンスにつなげることができるかを描くとともに、リスクへの対策も検討が必要です。
まずは、商品・サービスを安定的に供給できる体制づくりが必要です。現有人材の定着はもちろんのこと、業務量に対応するために必要な人材の確保、または、他事業者との連携を強化することも視野にいれておきましょう。

新たな取り組みをするなら、現在の人材やネットワークの活用だけでなく、新規事業に必要なスキルを持つ人材の確保や仕入先・外注先の開拓なども必要となります。
また、大阪に来訪する外国人への対応が増加することにより、商習慣や生活習慣の違いによるトラブルも想定されます。
顧客向けには案内等の表示や従業員向けにはマニュアルなど、想定されるギャップへの対応ができるよう事前準備を怠らないようにしましょう。

なお、大阪産業創造館の2階にある経営相談室では、経営に関する相談を実施しています。常勤のスタッフコンサルタントをはじめ、経営の各分野に精通した100名を超える登録専門家(経営サポーター)が個別相談に応じています。
WEB活用や海外取引など、それぞれの状況に応じて必要な取り組みに対するアドバイスを行っておりますので、ぜひご活用ください。
経営相談室

昨今、外部環境の変化は著しく、2年先であっても見通しが難しい状況にはありますが、大阪・関西万博を見据え、今からできることに着手し、来るべきビジネスチャンスの獲得につなげていきましょう!

↓今回のコラムを書いたのはこの方↓

東 純子(あずま じゅんこ)氏

東 純子(あずま じゅんこ)氏

 

大阪産業創造館 経営相談室 コンサルタントリーダー
中小企業診断士
産業カウンセラー、キャリアコンサルタント

大学卒業後、内装施工会社の営業職に従事。
その後、人材教育会社にて社員教育企画・運営、市場調査会社にて調査企画及びリサーチ業務等を経て、経営コンサルティング会社に勤務。個別企業のコンサルティング及び業界団体の活性化支援に従事する。
2004年4月より現職。経営計画やマーケティング戦略の立案、ビジネスモデル策定支援を中心に、中小企業経営者や創業者をサポートしている。

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