先日、「株式会社を設立することにしました」と報告に来られた方がいました。その際いろいろな話をしているうちに、「ところで株式会社ってどんな特色があるの。なんとなく手続きなどで個人事業との違いは判りますが・・・」ということになりました。少し小難しい話になりますが、株式会社について説明してみましょう。
まず日本全国に株式会社はどれだけあるのでしょう。少し古いですが平成17年の税務統計によりますと104万社があるそうです。その他有限会社が145万社。会社法施行で全国に株式会社(特例有限会社を含め)は250万社あることになります。
株式会社は営利(儲け)目的とする法人です。法人とは?「人」という字が使われています。いわゆる人間は法律上「自然人」といわれ、生まれながらにして人としての権利を持ち義務を負っています(出生届を出さなければなりませんが)。
それに対し株式会社を始めただけでは権利・義務のある法“人”にはなりません。市(区)役所への出生届ならぬ法務局への登記申請をする必要があります。登記する内容は、社名(商号)、目的(どんな事業をするか)、本店の所在地、役員(取締役、代表取締役、監査役)の名前など法律によりきめられています。
また社名については人名と違って、会社法になって緩やかになりましたが、同一住所で同じ事業内容など他社と間違えるような紛らわしいものは受け付けてくれません。こうして登記申請が受け付けられて、初めて他社(者)に対抗できる法“人”となれるのです。人間の出生届と大きく違うのは事業の目的を届けなければならないことです。
人間の場合はどんな人生を歩むかを出生届時に決める必要はないのが大きな違いです。もちろん夢ある将来を出生時に決めることはできませんよね。
登記事項は個人情報ではありませんので、誰でも見ることができます。そうして調べられることは、他の人(会社)に対して本当に実在する会社であるという証明になりますから、個人事業より信用が高い所以でもあるのです。
株式会社が他の法人と最も違うところは、多くの人(自然人、法人問わず)から資金を提供していただくことができることです。資金の提供者(株主)と経営する人(役員)は同じである必要はありませんので、多くの人から資金を集めることができるのです。
たとえば三井住友銀行を運営する三井住友ファイナンスは4兆円近い、NTTは1兆7千億円あまりの資金を調達しています。しかしこうした多くの人から資金を調達している株式会社は証券取引所に上場している3500社を始めとした、株式会社100万社のほんの一握りです。
多くの株式会社は役員だけとか、家族・親戚・従業員・知り合いなど限られた人からの資金提供にとどまり、株式会社本来の特色を生かしているとは言い難いのが現状です。
その他にも細かな点の特色もありますが、今回はこのあたりに止めておきます。
経営相談室 スタッフコンサルタント 田口が担当しました。
▼田口 光春(タグチ ミツハル)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。 https://www.sansokan.jp/akinai/spe_list.san?H_SPE_ID=1137
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