今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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取引先が支払期日を過ぎても売掛金を支払ってくれません(売掛金の支払義務そのものには争いはありません)。どうすればよいでしょうか。
可能な限り取引先に関する情報収集を行い、その上で具体的な回収方法を検討していきます。
取引先からの情報収集が可能な場合(取引先が支払遅延の理由等について説明してくる場合など)と不可能な場合(取引先と連絡がつかない場合、連絡がついても具体的な事情は説明せずに待ってくれと繰り返す場合など)に分けて考える必要があります。
まず、前者の場合、取引先の説明を単なる言い訳だと切り捨てずに、遅延をした理由や経営状況等の具体的な事情(特に売掛先、在庫、預金口座等の財産につながる情報は重要です)を聞き取り、資料の提供を求めることが必要です(弁護士が入ると、このような事情を聞き取ることは困難になります)。具体的な事情を聞き取ることができれば、その事情に応じて、売掛金の支払計画を合意して公正証書の作成する、具体的な財産について代物弁済(動産や債権等の財産による弁済)や担保提供を求めていくなどの対応をとることができます。また、仮に回収についての話合いがまとまらなくても、今後の回収方法を検討するヒントを得ることができます。なお、具体的な事情を聞くことと、その説明内容に納得することは別ですので、納得できない限り支払期日の延期に応じる必要はありません。また、場合によっては聞き取った事情に基づき後述の法的手続を検討していくことも必要となります。
次に、後者の場合ですが、この場合は速やかに積極的な回収作業を進める必要があります(なお、この場合でも取引先以外からの情報収集はできる限り行う必要があります。)。まずは書面による督促が考えられますが、督促の事実や内容等を明確にするため内容証明郵便により督促をすると良いと思います。書面による督促をしても支払いがない場合や、そもそも督促をすることに意味がないと認められる場合には法的手続きを検討することになります。法的手続としては、仮差押、支払督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停、強制執行(担保権に基づくもの、判決等の債務名義に基づくもの)などが考えられますが、どの法的手続を選択するのが適切かは事案によります。