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著作者人格権不行使特約について

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  • 著作者人格権不行使特約について

    あるIT会社にプログラム開発を委託することになりました。プログラムの著作権については譲渡を受けることとなっておりますが、他に何か注意すべき点はあるでしょうか。

    著作権の譲渡だけでなく、著作者人格権不行使特約等の特約もいれましょう。


    1 著作者人格権の存在
     著作権法は、著作者が表現物を創作したという人格的要素・利益に着目して、創作と同時に著作者に譲渡・相続できない一身専属的権利として著作者人格権という権利を設けております(著作権法59条)。具体的には、公表権(著作権法18条)、氏名表示権(著作権法19条)、同一性保持権(著作権法20条)等で構成されております。
     そのため、著作物の製作を発注した場合に、完成著作物の著作権譲渡を受けただけでは、原著作者が有する著作者人格権を原著作者が行使し、様々なビジネス上のリスクが生じかねません。

    2 著作者人格権不行使特約の必要性
     著作者人格権は、人格的性質があるため、譲渡・相続することが出来ない一身専属権とされております(著作権法59条)。また、人格権という性質のため、原則として、放棄することが出来ないと考えられております。但し、この点、近年、著作物の性質によっては放棄を認めるべきではないかという議論もありますが、契約書に「放棄」という文言を入れることはビジネスリスク回避の観点からは、好ましくないと思われます。
     そこで、著作者人格権不行使特約等を記載すべきということとなります。確かに、人格権の不行使が有効か否かについては著作権法上の問題点がありますが、著作者人格不行使特約の有効性を認めている裁判例も存在しており(東京地裁平成13年7月2日判決宇宙戦艦ヤマト事件)、実務上の対応では、しっかりと記載すべきです。

    3 実務上の注意
     上述しましたように、著作者人格権は人格権的要素があること、そして、著作物の性質によっては、その対応をきめ細かくする必要があること等から、著作者人格権不行使特約を明記する場合にも、その著作物の性質に応じた記載の仕方が求められます。そのため、著作権人格権特約行使の記載について、著作権法に詳しい専門家の意見を事前に聞く等して、ビジネスリスクを回避するように致しましょう。

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