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労働安全衛生法の改正により、職場で使用する化学物質のリスクアセスメントが義務化されていますが、どのように取り組めばいいのか教えてください。
対象物質のSDSを基にばく露限界値と比較してリスクを見積もりましょう
労働安全衛生法の改正に伴い、2016年6月から一定の危険有害性を有する化学物質を製造あるいは取り扱うすべての事業者は、化学物質のリスクアセスメントを実施することが義務化されました。2024年4月1日時点で対象物質は896物質ですが、今後、約2,900物質まで追加される予定です。
化学物質のリスクアセスメントとは、化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害が生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討することです。リスクアセスメントは以下の手順で進めます。
【ステップ1】化学物質などによる危険性または有害性の特定
リスクアセスメントの対象となる業務を洗い出し、 SDS(安全データシート)に記載されているGHS分類(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)などに即して危険性または有害性を特定します。
【ステップ2】リスクの見積もり
作業場の気中濃度を測定し、リスクアセスメント対象物質のばく露限界値と比較する方法(実測法)と、気中濃度を推定し、ばく露限界値と比較する方法(推定法)があります。厚生労働省は、推定法に基づく簡易なリスクアセスメントツールとして、「クリエイト・シンプル」を提供しています。
【ステップ3】リスク低減措置の内容の検討
次に掲げる優先順位でリスク低減措置の内容を検討します。
①危険性または有害性のより低い物質への代替、化学反応のプロセスなどの運転条件の変更、取り扱う化学物質などの形状の変更など
②化学物質のための機械設備などの防爆構造化、安全装置の二重化などの工学的対策または化学物質のための機械設備などの密閉化、局所排気装置の設置などの衛生工学的対策
③作業手順の改善、立入禁止などの管理的対策
④化学物質の有害性に応じた有効な保護具の使用
【ステップ4】リスク低減措置の実施
検討したリスク低減措置の内容を速やかに実施します。
【ステップ5】リスクアセスメント結果の労働者への周知
①対象物の名称、②対象業務の内容、③リスクアセスメントの結果、④実施するリスク低減措置の内容、を労働者に周知します。
(回答日:2024年10月4日)