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日本国内で販売している製品をベースに海外展開を考えています。
輸出用製品の商品化に当り、留意すべき点を教えてください。
海外法規制や市場ニーズに対応した取引条件提示の為、十分な事前調査、検討が必要です
日本国内向の工業製品の現行モデルを輸出したい事業者は多いと思います。
ヒトが海外旅行する際、出発時の空港で渡航先の入国に必要な要件、査証等を確認されますが、モノの輸出にも同様の準備・手続きが必要です。
海外向の商品化にあたり最も重要となるのは、輸出対象国の「法規制・認証への適合」です。
輸入禁止/規制の対象でないことはもちろん、対象国のルールに合致した製品仕様とし、それを証明する認証手続きが必要です。要求される法規制・認証は対象国や製品により千差万別ですが、工業製品(例:完成品)の場合、主な規制分野は:
(1) 安全性 製品の安全、消費者保護など。
(2) 環境保護 有害物質規制、廃棄やリサイクル、温暖化防止等に関するもの。
(3) 省エネルギー 燃料、熱、電気など、決められたエネルギー消費効率を満足していること、
当該機種のエネルギー消費効率(クラス)を製品に表示すること。
(4)人権デューデリジェンス 製品のサプライチェーンにおいて、強制労働、児童労働、
ハラスメント等の人権リスクに対し対処していること。
などがあり、強化される傾向です。これら規制や表示義務への適合を証明できない場合、対象国への輸入通関や現地販売に支障を来すことがあります。また、これ以外に、市場ニーズや競合品との対抗上、仕様やデザインを変更する場合もあります。
これらをベース機種からの変更度合により大別すると:
(1) 変更度合小 基本設計は変更せず、規格適合認証の取得や表示・印刷物の言語対応等
(2) 変更度合中 (1)に加え、現地市場に合わせた色調、機能等仕様のマイナーチェンジ
(3) 変更度合大 (2)に加え、海外客先向けの専用、新規設計等
が考えられます。
(1)から(3)の順で売主負担は増えますが、商談規模も大きくなる傾向です
輸出用の商品化に当り、設計変更に伴う開発費、原材料費/組立費の変動、規格認証取得コスト、金型修正/新作費、輸出梱包/印刷物の翻訳費・版代などの一次性行程費用(NRE)、更に海外部門の増強や通信費/旅費交通費などの管理販売費等、原価や経費に多くの変動が予想されます。よって商談、価格提示する際には、十分な調査と事前検討、及び事業判断が重要です。また、対象国での輸入関税の賦課(原産地と品目で決まる関税率)、日本の安全保障貿易管理(該当時輸出許可/承認取得が必要)、経済安全保障など、海外取引固有の留意点も多いので、必要に応じ専門家に相談されることをお勧めします。