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新たに固定残業代の制度を導入しようと考えております。制度の導入にあたり注意しないといけない点を教えてください。
固定残業代の制度を否定されないように、2つの事に注意する必要があります。
従業員に対し、あらかじめ定額で残業手当を支給する固定残業代の制度ですが、実は法律上で制度を導入する上での明確な基準や定めはありません。ただし、制度を導入する際は2つのポイントを押えて固定残業代を設計する必要があります。
1.固定残業代の項目、金額、根拠を明確にし、従業員が理解できる状態にする
具体的には以下の点に注意する必要があります。
●「固定残業代部分」と「そうでない部分」を明確にする
一番わかりやすいのは、「固定残業手当」などという名称で別に手当を支給することなどです。
●固定残業手当として支給している金額の計算根拠を明確にする
例えば「固定残業手当は30時間分の時間外手当相当額である」というようにその手当の金額の根拠を明確にすることです。そして実際に法令に基づいて計算した結果も、30時間分の時間外手当の金額相当額になっていることです。
●従業員各人の労働条件通知書や給与明細などで、固定残業代の金額、時間数などを明示
する
書面で従業員に明示することにより、従業員にきちんと金額、時間数、根拠などがわかる状態とすることが必要です。
2.固定残業代を上回る残業代の支払いをする
1ヶ月の残業手当を計算した場合、その残業手当の金額が固定残業代の金額より大きくなった場合は、その差額を支払う必要があります。
よって、固定残業代の制度を導入したとしても、月々の残業手当については、別途法令に基づいた計算処理を行う必要があります。そして固定残業代の金額より実際に計算した残業手当の金額が多い場合は、その差額を支払う運用が必要となります。
3.まとめ
固定残業代の制度を導入している企業は、その制度が否定された際、残業代未払いの金額は多額となり、企業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。固定残業代の制度を導入する際は、上記1,2のポイントを考慮して制度設計を行い、後に従業員とトラブルが起こらないような運用をする必要があります。